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テクニカル誘発、エアギター、ボール強奪など本領発揮

ペイサーズのランス・スティーブンソンは、マークに付く選手を苛立たせ、ミスを犯しやすくさせることに関しては右に出る者がいないほど厄介な存在。そのスティーブンソンと因縁がある選手こそ、レブロン・ジェームズだ。代表的な例は、レブロンがヒート時代のプレーオフで見られた『耳に息を吹きかける』妨害行為だろう。

フリースローを待つ間であっても、隣で気が散る行為を再三仕掛けてくる姑息とも言えるやり方だが、スティーブンソンはリーグトップクラスのディフェンダーでもある。精神面で揺さぶりをかけつつ、執拗な守備で抑えられれば苛立たない選手はいない。

1月13日にキャブズと対戦したペイサーズは、97-95で逃げ切り、大きな1勝を手にした。この勝利の影には、スティーブンソンの『仕事』が何らかの影響を与えたと言っても過言ではない。第4クォーター残り7分53秒、レブロンは近づいてきたスティーブンソンに何かを言われて押しのけてのだが、その直前にも軽く小突いた印象が良くなく、まんまとテクニカルファウルを取られてしまった。

この行動の直前、スティーブンソンは3ポイントシュートを決め、直後エアギターを奏でてキャブズを挑発していた。おそらく、レブロンはこの行動にも苛立っていたのだろう。

そして極めつけは、ペイサーズが96-95でリードして迎えた試合終盤の残り2.3秒だった。インバウンドパスを受けたレブロンがエンドラインから仕掛けたものの、ラインを割ってアウト・オブ・バウンズに。すでに審判の笛が鳴ってペイサーズボールになっていたのだが、スティーブンソンは背後から近づきレブロンから無理矢理ボールを奪った。

敗れたキャブズは3連敗。もしマッチアップの相手がスティーブンソンではなく、いつもの冷静なレブロンでいられたら、ターンオーバーになってしまった終盤のプレーを確実に決め、キャブズが競り勝っていたかもしれない。

試合後、『Fox Sports Indiana』からマイクを向けられたスティーブンソンは、レブロンとのマッチアップについて「少し仕掛けて、怒らせようと思った。オフェンス時に俺のことを意識させようとした」と語る。やはりスティーブンソンはレブロン対策の『スペシャリスト』だった。

ちなみに、今シーズンのペイサーズは、キャブズとの3試合すべてに勝利している。