ディアンドレ・ハンター

あこがれのカーメロとの対戦「現実とは思えなかった」

ホークスのルーキー、ディアンドレ・ハンターのNBAまでの道のりは平坦ではなかった。8歳で父親を失い、北フィラデルフィアでタフな生活を強いられながらも、ヴァージニア大学へ進学し2019年にはNCAAチャンピオンに輝いた。ハンターを影で支え続けてきたのは父親に代わって家族をまとめた兄だった。そんな兄とハンターとの関係を描いたドキュメンタリーが先日公開された。

ハンターは2019年のドラフト全体4位指名でホークスに入団。今シーズンはルーキーながらほぼ全試合にスターターとして出場し、平均12.3得点、4.5リバウンド、フィールドゴール成功率41%、3ポイントシュート成功率35.5%をマークした。

ドキュメンタリーの公開にあたって行われた『Sports Illustrated』とのインタビューで、ハンターは兄との関係を語った。

「兄からは男らしさを学んだ。父が亡くなったあと兄が家族を引っ張ってくれ、僕の面倒も見てくれたんだ」

「今は兄と弟の関係だけど、僕が若かった時は父親のような存在だった。兄を尊敬していたし、アドバイスももらっていた。彼は経験から学んだことを教えてくれたよ。もちろん今でも本当に仲が良い。ついさっきも電話していたし、今でも毎日連絡を取っているよ」

ルーキーとして迎えた今シーズン、ハンターはたくさんのことを吸収している。

「体力的にしんどいね。こうなるとは僕は予想していなかった。試合に練習、移動のことはあまり考えていなかった。だから学ぶ必要があったんだ。シーズンが始まる前から調子の良い時も悪い時もあることは分かっていたけど、全部が頭に入っていたわけではなかった」

ハンターは子供の頃からNBA選手のドキュメンタリーを見てきたが、「カーメロのハイライトをいつも観ていたよ。彼のドキュメンタリーも観た。自宅の地下室で彼の映像を繰り返し観ていたんだ」と語るように、一番のお気に入りはカーメロ・アンソニーだった。

NBAの舞台であこがれていたカーメロと対戦することになったハンターだが、「伝えたかったけど言えなかったね。カーメロとは試合中ずっとマッチアップしていたから一言言えばよかったね。来年になるかは分からないけど、次対戦することになったら伝えようと思う」と、あこがれの思いを伝えられずにいる。

そして、そんなあこがれの選手とのマッチアップは不思議な感覚だったと語った。

「いざ試合になると彼を封じ込めたかったよ。あこがれの選手だけど、試合になればそれは関係ない。現実とは思えなかった。長い間実現したいと思っていたことが現実になったんだからね」

兄との絆でNBA選手という夢をかなえ、あこがれの選手との対戦も実現したハンター。今後が楽しみな選手の一人であることは間違いない。