文・写真=小永吉陽子

高校3年間で『栄光』も『どん底』も味わったのが今年の明成3年生だ。1年時にはウインターカップ3連覇の歓喜を先輩とともに味わい、2年時には初戦敗退の憂き目を経験した。自信喪失を払拭して自信を持つことをこの1年のテーマとし、インターハイでは走力を生かして準優勝へと躍進。だが、それでも足りない1点差を埋めるために、打開力をつけるべくウインターカップに向けて練習を積んできた。

チームの中心は、エースの八村阿蓮とキャプテンの相原アレクサンダー学。兄である八村塁を受け継ぐ背番号『8』(八村の8番)を身にまとう八村は、身体の強さを生かしたインサイドプレーとリバウンドに強みを見せるセンター。相原はダイナミックなドライブインを生かして躍動するシューティングガードだが、将来性を期待され、歴代の司令塔が身につける背番号『6』を着けている。ともに夏よりもプレーの幅を広げてウインターカップに挑む。チームの主軸である2人に、明成での3年間と最後の大会に懸ける意気込みを聞いた。

[INDEX]ウインターカップ2017プレビュー 出場校インタビュー

夏の敗戦から本音で話し合い、練習の雰囲気から改善

――インターハイ決勝で悔しい負けを経験してから、どのような思いで練習をしてきましたか。

八村 インターハイ決勝は自分がもっと決めていれば勝てた試合だったので、本当に悔しかったです。決勝では1回ミスをしてしまうと、全員が消極的にプレーしてしまったところがあって、そこを直さないと勝てないとずっと先生に言われてきました。今はミスをしても「次に取り返そう」と声をかけながらやる力がついてきたと思います。

相原 インターハイの悔しさをぶつけるのはウインターカップしかないと思って練習をしてきました。インターハイ決勝ではディフェンスが機能しなかったし、相手のゾーンを攻めあぐんでしまい、自分たちで雰囲気を悪くして負けてしまったので、そこが反省点でした。今では全員で声を出して練習をするようになったので、そこがインターハイから変わったところです。

――練習を見学しましたが、声がよく出ていて活気があり、選手同士で鼓舞し合っていたので、夏からの変化に驚きました。このような練習の雰囲気になったのはいつ頃からですか?

相原 インターハイ後から練習の姿勢は変わってきたとは思うんですけど、ここまで大きな声を出すようになったのは最近です。12月に入って全員でミーティングをして、「今は何が悪い」、「誰々はここを直そう」と本音で話し合いました。先生に言われてやるのではなく、自分たちから徹底してやろうと見直をして、全員の意識が変わってきました。

八村 先生には『自分たちで雰囲気を作って練習をしろ』とずっと注意をされていたので、みんなで本気で話し合いました。良い雰囲気で大会に行きたいので、練習から変わりました。

ディフェンスからのブレイクというテーマはできた

――東京入りする直前にはOB戦で先輩たちに胸を借りました。OB戦で得た手応えは?

相原 明成の先輩たちだからみんなうまいし、勝負どころで決めてくるからすごく良い練習になりました。ディフェンスから走る練習をずっとしていたので、練習通りに走ることはできたと思います。OB戦をすると最後の仕上げというか、いよいよ詰めの時期が来たと感じます。

八村 大学生はフィジカルが強いので当たり負けしてしまうところがあったんですけど、そこは強気でやりました。ディフェンスからのブレイクというテーマはできたと思います。

――2人が考える明成バスケットとは。またチームにおける自分の役割は何だと思いますか?

八村 新人戦の頃からディフェンスでしっかり守って速攻を出すというのをやってきて、今では走るバスケットではどこにも負けないと思っています。自分は集中力を切らさずに、リバウンドと得点を取ることが役割。前はがむしゃらにやるだけでしたが、今では少しは落ち着いてやれるようになった気がします。

相原 アレンと同じです。走ることはどこのチームにも負けません。自分はドライブしかないと思われているから外のシュート力をつけたかったけれど、それはまだ下手なので、ルーズボールとかリバウンドとか、泥臭いことをやります。

洛南と対戦したら、能代カップのリベンジをしたい

――ウインターカップの組み合わせを見ての感想、戦いの展望は?

八村 洛南(京都)と対戦することになれば、能代カップ(5月)で負けているので、そのリベンジをしたいです。リベンジできるから、というわけではないですが、燃える組み合わせです。

相原 自分も洛南にリベンジしたいです。能代カップの時の洛南は自分たちよりバスケを知っていて、セットプレーで逆を突かれるプレーをされたので、あの時とは違うところを見せたいし、今の自分たちはあの頃よりも良さを出せると思う。でも、どこと当たっても一戦一戦です。

――もし、洛南と対戦することがあれば3回戦。厳しい組み合わせだと感じませんでしたか?

相原 いや、自分は強いチームとは早いうちから対戦しておきたいです。留学生がいるチームはアレンが当たり負けしないから自信があるんですけれど、走ったり、粘ったりするチームは頭を使う対戦になるので、自分としては早いうちにやっておいて、勝ち上がりたいです。

――ウインターカップに向けて、やる気マンマンですね。

八村&相原 燃えています!

相原 最後の大会だから、みんなすごく燃えています。3年間の集大成だし、ウインターが終わったらこのメンバーでバスケはできないし、梅丘中の3人で中学の時からやってきたのも最後になるので、自分の全部を出し切りたいです。