「こういう状況だからこそ、勇気を伝えられる試合に」
新型コロナウイルスの影響で試合を延期していたBリーグは、今日から無観客でリーグ戦を再開した。船橋アリーナに宇都宮ブレックスを迎えた千葉ジェッツは、80-88で敗れた。
Bリーグの創設から初となる無観客試合。会場はいつも通りセッティングされBGMも流れていたが、試合の雰囲気は独特なモノとなった。選手たちの声が会場に響き、ヘッドコーチと審判が話す声が2階席に据えられた記者席まで聞こえてくる。
普段だったらシュートが決まれば会場は大歓声に包まれるが、今日はチームメートの声援のみ。それでも選手たちは目の前の試合に集中して、中断前と変わらない激しいゲームを続けた。
勝利した宇都宮の安齋竜三ヘッドコーチは、「選手たちはやるべきことに集中してくれた。こういう状況だからこそ勇気だったり、何かを伝えられるような試合にしたかった」と、この情勢の中でバスケットボールをする意味を語った。
一方で、複雑な思いもある。それを率直に語ったのは千葉の大野篤史ヘッドコーチだ。「軒並みスポーツやイベントが中止になる中でBリーグが再開して、選手たちにも不安があったと思う。お客さんがいる、いないよりも、この社会情勢の中でゲームをすること。特にバスケットはコンタクトが多く、飛沫、汗が飛ぶスポーツなのに、最初に再開して良いのかと思いました」
それでも試合再開はリーグが正式に決定したこと。大野ヘッドコーチも疑問はあれど否定はしない。「僕たちはお客さんに見てもらうために練習しているので、無観客の中でプレーするのは違和感がありました。再開は決まったことなので、今のベストを尽くそうと選手たちには話しました」
「一日でも早く、ファンの前でプレーしたい」
富樫勇樹も試合後、リーグが再開することに「いろいろな感情がありました」と明かす。
「バスケットができる喜びもある中、いろいろな選手の気持ちも聞いていたので、試合をすることが正しいのかという気持ちもありました。もちろん試合には全力で挑みます。ただ、この状況は誰もが気持ち良く全力でプレーできる環境ではないと思うし、NBA中断の影響は大きいです。外国籍選手を含め、この状況でプレーをすることを怖がっている選手は多いと思う。リスクを背負ってまでこの状況でプレーをしないといけないのか、しっかりと判断しないといけない」
それでも無観客で試合を行い、あらためて得たこともあった。「ブーイングにしても、お客さんがいないことで全体の雰囲気が変わります。あらためてBリーグはたくさんのファンで作られていると感じました」
千葉vs宇都宮は無事に試合を終えたが、同日の川崎ブレイブサンダースvsレバンガ北海道はチームに体調不良者が出たため試合開始直前で中止となった。
まだまだ新型コロナウイルスの影響は大きく、イベントなどは自粛や延期が続いている。それでも選手たちは不安を抱えつつもコートに立ったらいつも通り全力でプレーをしている。富樫が「一日でも早く、ファンの前でプレーしたい」と言ったように、平穏な日々が戻ることを願うばかりだ。
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