西村大介

「リーグと各クラブが連携し、何があっても耐え抜く」

Bリーグは昨日、3月14日から4月1日にかけて予定されているB1とB2の試合を、無観客で実施することを発表した。新型コロナウイルスの感染拡大が続く状況、大河正明チェアマンは「感染者の拡大、スピードを抑えるための国の施策に協力しないといけない。その中で無観客を選んだ」、「諸手を挙げて無観客試合をしていくという考えではない。選手、コーチ、スタッフ、審判やそのご家族を含めた安全も配慮していかないといけない」と、苦渋の決断だったことを明かす。

それと同時に、「無観客にしても試合をやることによって多くのファン、ブースターがテレビの向こうでBリーグを見て元気になってもらいたい、そんな期待の声もたくさんもらっている」と、日本全国が自粛続きで沈滞ムードの中でBリーグに何ができるかを考えてのリーグ再開だったと語る。

このリーグの決断を各クラブはどう受け止めているのだろうか。入場料はクラブ収入の大きな割合を占め、グッズと飲食の収入も途絶える。これがB1では72試合、B2では59試合もあるのだから、クラブ収支へのダメージは計り知れない。

滋賀レイクスターズの西村大介代表取締役社長は、この状況に対して「収入が大きく減るのはかなりの痛手」としながらも「いろんなシミュレーションをしていて、今後どんな状況になるかも分かりませんが、なんとか工夫をして耐えしのいでいきたい」と見解を語る。

それでも「本当にカツカツのところで頑張って、という感じです。一般的に言えば規模の小さいクラブでは資金繰りが厳しくなるところが1つや2つではないと思います」と、クラブが直面する危機を説明した。

今回の状況下では、観客抜きでリーグ戦を再開したところで、どこかのチームの選手やスタッフが新型コロナウイルスに罹患したとなれば、チームごと濃厚接触者という扱いになり隔離されることになる。そうなれば全36チームがすべての日程を終えることはできなくなる。同じく経営面でもどこかの資金繰りが行き詰まれば、シーズンを全うすることはできない。

西村代表は言う。「今回は大河チェアマンから、とにかく行き詰まってしまうクラブも一つも出さない、そのためにいろんな決断をするし、何かを決める時はそれが第一優先なので信じてくれと各クラブの社長に対して言ってもらっています。私はそれを信頼します。とにかく5月には終わるので、来シーズンのことはそれから。今はとにかく、リーグと各クラブが連携して何があってもそこまで耐え抜くということになります」

「我々だけじゃなく社会全体が大変な状況です。特にこういうスポーツのチームはファンの皆さん、地域の皆さんに元気を与えることが一番の意義だし、まずは存続することが元気の源になります。それは我々クラブもリーグも一致団結して、何があってもバスケットの火を消さないということで連携しています。実際、クラブの社長同士の議論も今までにないぐらい活発です。どこも潰さないという大河チェアマンの言葉を信じて、まずは2019-20シーズンを各クラブが一緒に戦いますので、ファンの皆さんもともに戦うつもりでいていただきたいです。この一連のことが終わった暁には、本当にみんなが元気になれるようなリーグであると示せるように、今は雌伏の時ですがグッと力を溜めてやっていきます」

今回は滋賀の西村代表にコメントを寄せてもらったが、B1とB2の36チームすべてが同じ思いを持っているはずだ。いずれこの事態が収まった時、乗り越えたバスケファミリーの結束はより強くなっているに違いない。