取材・写真=古後登志夫 構成=鈴木健一郎

インターハイで準決勝進出と躍進した大阪桐蔭。185mのサイズを持つ竹原レイラのインサイドを軸に粘り強い戦いで大阪のライバルを破り、ウインターカップへの挑戦権も得た。インターハイ準決勝では岐阜女子を相手に臆してしまい、力を発揮できないまま敗れてしまったが、その経験を今大会で生かすことができれば、また違った展開になるはずだ。

ただ、岐阜女子との再戦があるとしたら、それは決勝の舞台。そこにたどり着くべく、竹原のインサイドだけでなくチームの戦いの幅を広げられるよう準備を進めている。キャプテンの永田舞とエースの竹原レイラ、チームを支える2人に話を聞いた。

[INDEX]ウインターカップ2017プレビュー 出場校インタビュー

「中も外も攻められるのが自分たちの強み」

──まずはそれぞれ自己紹介をお願いします。

永田 キャプテンをやらせてもらっています。ポジションはフォワードです。能力型の選手ではないので、自分としてはルーズボールだったりリバウンドだったり、そこを頑張ることでシュートにもつながってくると思っていて、そういう泥臭い仕事を意識してやっています。

竹原 センターで、中で点を取るプレーが得意です。「チームの大黒柱になれるように」とずっと言われています。

──では、オフェンスは竹原選手が中心ということですか?

永田 レイラがいるのでインサイドを中心に回しますが、岐阜女子のように身長が高い選手のいるチームが相手になると外の攻めも大事になるので、中に頼り気味になってしまっているところを、外から攻めて中にも合わせられるように練習しています。

竹原 今はまだウインターカップに向けてチームを作っている感じです。でもアウトサイドの選手も能力があるし、ガードもドライブが速かったりして、そこからの合わせや私にディフェンスが寄ってきた時の周りの対応が武器になると思っています。中も外も攻められることを自分たちの強み、特長としてやっていきます。

竹原「インサイドだけでは世界で通用しない」

──永田選手はキャプテンとしてチームをまとめる上で、どんな部分を意識していますか?

永田 切り替えができない時に、自分が常にチームの状態を見て、雰囲気が悪くなったらしっかり声を出すことです。インターハイでもそうだったのですが、連戦になってくるとやっぱり疲れてきて、試合の入りが悪くなりました。アップでダラダラしていたら、それは絶対に試合に出ます。トーナメントだと取り返しがつかないので、チームの雰囲気を常に見る、ということに一番気を付けています。それでも、あまりバーッと言うタイプでもないので、そこはみんなにフォローしてもらいながらです。

──重圧もあると思います。大変で嫌になることはありませんか?

竹原 一昨日の練習で泣いたよね。最後の5vs5を1、2年生とやったんですけど、ミスを連発して負けて、先生に舞のミスという感じでわーっと怒られて、それでポロポロと涙が。

永田 あれは悔しくって。でも、いつもチームメートに話を聞いてもらったり、副キャプテンの子も声をかけてくれたりして。そういうところでみんなで声を出しながら練習して、その繰り返しです。私は1年生の時もBチームでキャプテンをやらせてもらったり、3年生になってもあまり試合に出ていない状況でキャプテンをやらせてもらいました。その中で試合にも出してもらえるようになって、今はスタートです。試合の中でシュートを決めきる、チームがしんどい時に声を出す、そういう部分はだいぶできるようになったと思います。そういう点ではキャプテンをやっていく中で自分が変わったと感じます。

──竹原選手はどうですか。代表を経験することで何か変わりました?

竹原 代表は選手のレベルが高いですけど、自分のチームと違って即席チームです。いつも違うチームでバスケをしている子が集まるので、合わないところがいっぱいあります。でも、その中でも声を出したり、いろんな話をすることで、コミュニケーションの大切さを学びました。「声を出せ」ってチームでもいつも言われますが、その大事さが本当の意味で分かったのが代表でした。プレーの意識も変わって、世界選手権に行くと私と身長が変わらないガードが結構いて、そのプレーを見ていると自分もインサイドだけでは世界で通用しないことが分かります。世界で戦おうと思ったら外のプレーは必要だし、3ポイントシュートも打てるようにならなきゃいけないです。インサイドにしても、もっとプレーを強くして、ステップインの種類を増やしたり、幅を広げることが必要だと思いました。

永田「岐阜女子と、今度はしっかり戦いたい」

──お互いの良いところ、ここは直してほしいと思うところを教えてください。

竹原 キャプテンなので、試合のいいところでシュートを決めてくれるんですよ。3ポイントとか。国体の時には薫英の先生から「職人」って言われてました。大事なところで3ポイントシュートを決める職人です(笑)。舞自身の調子が悪くても、試合の重要なところになるとホンマにガチで決めてくれます。そういうところは頼りにしてます。ちょっとだけ直してほしいのは自己主張の部分かな。もっと自己主張が強めで来てもらいたいです。

永田 試合では常に強いプレーでどんどん得点を取ってくれます。頼りすぎかな、と思うぐらい全部ですね。苦しい時もねじ込んでくれたり。そういうところは本当に頼りにしてます。私は他の部分で頑張るので、プレーでどんどん頑張って引っ張ってほしいです。

──それでは、ウインターカップに向けての意気込みを教えてください。

永田 インターハイではベスト4まで行ったのですが、岐阜女子と対戦した時に、相手が強いからと弱気になってしまいました。それで戦えなくて負けてしまったんです。今回、ベスト4を懸けるところでは東京成徳が勝ち上がってくると思います。本当に力のあるチームですがそこは絶対に勝って、桜花学園に向かっていって。そして岐阜女子とやれるところまで行って、今度はしっかり戦いたいです。そして日本一になりたいです。

竹原 1年生の時、関東遠征がその時期だったのでみんなでウインターカップを見に行きました。その時、自分が代表で一緒にやっている選手がコートでプレーしているのを見て、すごく悔しかったのを覚えています。薫英の峰晴寿音という選手がライバルというか、大阪の決勝でどちらが多く点を取れるかなと思っているんですが、その寿音も1年生から試合に出ていて、それをモヤモヤしながら見ていました。今年ようやくウインターカップの舞台でプレーできるので、今まで2年間プレーできなかった悔しさ、それとインターハイで負けて悔しかった分まで、3年間の思い全部をウインターカップの一戦一戦でぶつけたいです。