取材・写真=古後登志夫 構成=鈴木健一郎

強烈なキャプテンシーでチームを引っ張る髙田知毅と、身体を張ったプレーが売りの2年生センター田中透希。髙橋渉監督が「伸びている」と名前を挙げた2人は、他県から大阪学院を選び、それぞれの課題を乗り越えてプレーヤーとしてたくましく成長してきた。

「突出した選手がいない全員バスケ」と彼らは言うが、この2人に限らずそれぞれの選手が自分たちで解決策を探して向上し、一つのチームにまとまったのが大阪学院だ。ウインターカップ本番を目前に控え、選手たちは東京体育館でプレーする自分たちの姿をイメージしながら、最後の仕上げに注力している。

[INDEX]ウインターカップ2017プレビュー 出場校インタビュー

キャプテンシーを持つ髙田と身体を張るセンター田中

──まずは自己紹介をお願いします。

髙田 キャプテンの髙田です。自分は3ポイントが得意で、チームを引っ張りつつ得点でもチームを引っ張ってウィンターカップで1勝でも多くできたらいいなと思っています。鼻は折れているのですが、ウインターカップには問題ありません。

田中 福井県から大阪学院高校に来ました。190cmでセンターとしては小さいんですけど、センターで中の仕事をやって、リバウンドとかで身体を張って頑張るプレーが多いです。

──2人とも大阪出身ではないですね。大阪にはどんなイメージを持っていましたか?

髙田 人口が多いので、京都に比べてレベルは高いですし、身長がなくても技術のある選手がたくさんいるのですごいと思いました。僕は京都出身なので洛南や東山に行くことも考えたのですが、中学最後の大会で負けてしまい最低条件をクリアできなかったので、こうやって髙橋先生に拾ってもらえたことに感謝しています。

──他県の2人が大阪学院を選んだきっかけを教えてください。

髙田 バスケに誘ってくれた先輩がこの高校で、その先輩の背中を追いかけて来ました。でもその先輩が途中で辞めてしまって、最初は正直キツかったです。1年生から試合に出してもらっていて、中学と高校のレベルの差を1年目でグサッと感じられたのは良かったのですが、練習だったりウエイトトレーニングだったり、中学でやらないことを高校でやるようになって、身体も心もしんどかったです。

田中 僕は消極的な人間で、自分でガツガツ行くタイプではなくて。でも2年生もそうですし、3年生の先輩も良い人ばかりで、すぐに馴染めました。プレーも合わせてもらっていて、自分がやりたいことをやらせてもらっています。ここに来てよかったと思います。

田中「以前は試合で感情的になってしまっていた」

──髙橋監督は田中選手が一番伸びたんじゃないかと言っていました。笑顔を作れるようになってきたとも。

田中 試合で感情的になってしまって、悪い意味で態度に出たり、表情に出てしまったりしていたんですけど、髙田キャプテンが尻を叩いてきたり、髙橋先生も「それは違う」と言ってくれたり。また他のメンバーも「大丈夫、大丈夫」と声をかけてくれたり。そうやって少しずつですけど、そういう表情になってきたんだと思います。試合で相手に波が行っても、「大丈夫、大丈夫」と言われているうちに「大丈夫なんや」、「そのうち自分らにも波が来る」と自分で思えるようになりました。

──気持ちの持ち方が変わったことで、自分のプレーにも自信が持てた?

田中 自信はまだ持てませんが、入学した時よりはセンタープレーもわりとできるようになったし、技術は少しはついたと思います。

──髙田選手はキャプテンになった時、どうでしたか?

髙田 今は先生がいないから言うんですけど、最初はやりたくなかったんです。中学でキャプテンとして指示をするんですけど、メンバーから違う目で見られたりすることがありました。正直、苦しい状況の中でバスケをやっていました。技術的にはうまくなったかもしれませんが、精神的にはずっと弱いままで。高校では良いメンバーが揃っているので自分がキャプテンをしなくても勝てると思い込んでいて、最初はキャプテンは絶対やりたくなくて。自分のやりたいことに専念したいと思っていました。

髙田「最初からキャプテンをやっておけば良かった」

──キャプテンをやりたくないという気持ちは、何をきっかけに変わったのですか?

髙田 自分のやりたいことに専念する、ということが一番チームに害を与えていると途中で気付いたからです。髙橋先生には何度も相談したんですけど、初めから僕にキャプテンになってほしかったみたいで、それに応えられなかったのは本当に申し訳ないと思います。自分がキャプテンじゃない状態で最初の大会に臨んで、大阪の私学大会は負けて3位になりました。そこからずっと勝てているので、大阪で4冠を目指すのであれば自分が最初からキャプテンをやっておけば良かったと思います。

──今はキャプテンの役割をスムーズにやれていますか。それとも内心キツいと思いながらもチームのために頑張っている?

髙田 やっていることは中学の時と同じですけど、周りがそれを受け入れてくれています。中学の時は「言われるのが嫌」という仲間が多かったんですが、高校になってレベルが高くなった分、僕の言うことを理解してくれます。どんな内容でも全員が受け入れてくれるというか。3年生は1年や2年に自分から声をかけてくれていて、そういうのはすごくうれしいです。

──2人があこがれている選手、ライバルと見なしている選手を教えてください。

田中 あこがれていたのは北陸の二上耀選手です。自分と同じくらいの身長で、外の3ポイントシュートも打てるしドリブルもドライブもできるというのは自分にはなかったので。

髙田 ミニバスで全国に行った時の相手が千葉で、その時のキャプテンが市立船橋の保泉(遼)なんです。1回戦でその市立船橋と当たります。全ミニで負けているのでリベンジしたいし、チームをもっと盛り上げて絶対に勝たなきゃいけないと思っています。