文・写真=丸山素行 

点差の離れない接戦、増田の退場が試合を動かす

大学日本一を決めるインカレの決勝戦が、東京の青学記念館で行われた。決勝カードはインカレ3連覇中の筑波大と初優勝を狙う大東大。決勝戦らしく実力伯仲となった戦いは、最終クォーターの勝負どころで攻めの姿勢を貫いた大東大が制した

立ち上がりから互いに譲らぬ展開となったが、大東大のリードで試合は進む。大東大はインサイドにモッチ・ラミンという大エースを擁しながら、モッチに依存することなくコートに立つ全員が特にディフェンスでハッスルした。これに対し筑波は思うように攻撃を組み立てることができず、杉浦佑成を中心に難しいシュートを決めていくが、連続得点には至らない。そして守備ではモッチに意識が行きすぎ、他の選手に走られる結果となった。

そして大東大はモッチを中心としながらも、他の選手も労を惜しまずリバウンドに飛び込む。前半はオフェンスリバウンドの数で6本上回った大東大が42-38とリードして前半を終えた。第3クォーターも流れは変わらず、終了間際に杉浦にブザービーターとなる3ポイントシュートを浴びるも、60-57の大東大3点リードで最終クォーターへ。

5点前後の点差で推移していた試合が動いたのは、筑波大の増田啓介がファウルアウトとなった残り4分からだった。直前のオフェンスで増田が3点プレーとなるバスケット・カウントを沈め5点差、3連覇中の筑波の本領発揮と思われたところで、その増田が痛恨のファウルアウト。これで試合の流れが一気に大東大へと傾く。

気持ちで上回った大東大がインカレ初制覇

増田の退場で手薄になったインサイドでモッチがイージーシュートを決め、さらにオールコートプレスで8秒バイオレーションを誘発。熊谷航が3ポイントシュートを沈め、一気に2桁点差と突き放す。なおもアグレッシブにプレーする大東大はオフェンスリバウンドや球際での強さで上回る。焦って3ポイントシュートを早打ちする筑波大に対し、ディフェンスリバウンドから走って点差を広げ、増田の退場からの4分間で17-3と圧倒。最後まで攻めの姿勢を貫き終盤に走った大東大が、87-68で筑波大を破り初優勝を手にした。

大東大の西尾吉弘監督は「素直にうれしいです」と初優勝の喜びを噛み締めた。「リーグ戦では先に仕掛けたほうがイニシアチブを取れる、接戦でも勝てることが多かったので、インカレに向けて準備した3-2のゾーンを仕掛けて向こうが足を止めてくれたので、それが勝利につながった」と語る。このゾーンディフェンスが終盤で勝負を決める大きな要素となった。

キャプテンの葛原大智も「試合を通して気持ちだけ出して相手を上回ろうとチームで統一した結果、優勝に結びついたと思います」とメンタル面で負けないという共通認識がチームに浸透していたという。

インサイドを支配された筑波大

敗れた吉田健司監督は「モッチ・ラミンをいかにインサイドでプレーさせないかというのをポイントにしてディフェンスを作ったのですが、それが空回りをしてしまった」とモッチに30得点を許したディフェンスを敗因に挙げた。また「シュートの効率はウチの方が良いんですが、オフェンスリバウンドを多く取られ攻撃回数が10回、向こうのほうが多かった。それをうまく改善できなかった」と話し、やはりリバウンドが勝敗を分ける鍵となっていた。

「杉浦を5番にしてモッチを外に出し、増田がインサイドで点を取っている時は良かった。でも増田が5ファウルとなった時点でジ・エンドという感じになってしまった」と、吉田監督も増田退場の影響が大きかったことを認めた。

こうして男子インカレ2017は大東大の初優勝で幕を閉じた。4年生にとっては最後の大会となり、バスケ人生に一区切りをつける選手もいるだろうが、まずはお疲れさまと言いたい。下級生はこの経験を生かし、来年も素晴らしい戦いを演じてほしい。

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