横浜ビー・コルセアーズの生原秀将、好転するチームで評価を高めるも「一喜一憂してはいけない」

横浜ビー・コルセアーズの生原秀将、好転するチームで評価を高めるも「一喜一憂してはいけない」

2020/02/07

生原秀将

格上からの勝利も冷静な生原

先週末の大阪エヴェッサ戦、横浜ビー・コルセアーズは第2戦を延長の末に落としたものの、初戦に勝利し、1勝1敗の痛み分けで終えた。

戦績だけを見れば、中地区5位の横浜よりも西地区首位の大阪に分があることは明らかだった。それでも、正式にアシスタントコーチからヘッドコーチへと昇格した福田将吾の初陣で横浜は勝利を収めた。これらの背景を考えれば、喜びもひとしおなはず。だが、生原秀将は冷静だった。「もっと喜ぶと思ったんですけど、めちゃくちゃ良いバスケをして勝ったわけではないので、もう明日に切り替えてますね」

今シーズンの生原は先発で使われることもあったが、プレータイムが10分に満たない試合もあるなど、起用法が定まっていなかった。しかし、福田ヘッドコーチが指揮を執るようになって以降、生原は先発に据えられ、平均約28分のプレータイムを得ている。そして、水を得た魚のようにここまで平均2桁得点を記録して、チームを牽引している。

「(田渡)凌くんの調子が上がらない中で、ゲームコントロールの部分で任されるようになりました。大事な時間帯は出すと言われていたので、スタートがどうこうとかは本当に気にはしていないです。スタイルが変わりつつある中で僕を必要としてくれているので、楽しみながらやっています」と、生原は言う。

福田ヘッドコーチが指揮を執り、生原が先発となってからのチームは格段に向上した。大阪との試合もそうだが、4年目にして、川崎ブレイブサンダースから初勝利を挙げたこともそれを証明している。

好転のきっかけは何なのか。生原は起用法と練習の取り組み方の違いを挙げた。

「今まではプレータイムも偏っていたので、次の時間のことも考えてハードにディフェンスしなかった部分も実際ありました。そこから、みんなでローテーションして必ずハードワークしようというスタイルになりました。練習でもコーチ陣から狙いとかを伝えられなかったし、自分たちからアプローチしてもトム(トーマス・ウィスマン)も自分の考えがあったので、そこは噛み合わなかったりしました。福田さんに代わって、そういうところがはっきりしつつあるので、攻守ともに良くなっているかと」

生原秀将

福田ヘッドコーチ「『1team』で作り上げていきたい」

ヘッドコーチ交代だけでチームは劇的に好転するものだろうか? それでも選手の意見に耳を傾ける福田ヘッドコーチだからこそ、コミュニケーションがしっかり取れるようになり、チームは同じ方向を向けている。

「福田さんはこれまでごまかしてきた部分をはっきりしようと練習でもやっています。選手の意見も聞いてくれたり、練習でそれが反映されているので。練習とか戦術面もクリアになって、そこのフラストレーションがなくなっているのは大きいです」

選手とヘッドコーチのあり方に正解はない。ただ、一つ言えるのはそこに信頼関係がなければ、戦う集団として一つになれないということ。それを理解する福田ヘッドコーチは、理想とするチーム像をこのように語る。「僕がチームを引っ張っていくことも大事だと思うんですけど、みんなで一緒にチームを作り上げていく。それがスタッフだけでなく、フロント、ブースターさんも含めて、『1team』で作り上げていきたい。なので彼らの意見を聞くようにして、一人ひとりにチームの大事なピースなんだということを認識してもらいながら全員で頑張っていきたい」

生原秀将

「スタイルが変わる中で僕を必要としてくれている」

指揮官交代により輝きを取り戻した生原だが、ここまでの道のりは決して順風満帆ではなかった。

Bリーグ初年度、栃木ブレックス(現宇都宮ブレックス)に特別指定で入団した生原はいきなりB1優勝を経験。飛躍が期待された2年目は田臥勇太の2番手ガードとしてのポジションを確保したが、結果的に引退から復帰した渡邉裕規に次ぐ序列となった。心機一転、シーホース三河に移籍した昨シーズンも、個性の強いメンバーに合わせることにフォーカスしてしまい、シーズン途中に『プレーに迷いがある』と漏らしたこともあった。

だが、苦戦した今シーズンも含めた経験を『学ぶチャンス』ととらえ、生原は糧にしている。「大学からここまで来て、いろんなチームでいろんなスタイルをやってきました。試合に出れる出れないはありますが、違うバスケットにアジャストすることはバスケットを学ぶチャンスでもあります。チームからも頼りにしてもらって、スタイルが変わりつつある中で僕を必要としてくれているので、楽しみながらやっています」

チームとともに上向きつつある自身の現状を語る生原だが、決して表情がほころぶことはなかった。それはこれまでの経験で得た生原なりのモットーがあるからだ。

「一喜一憂してはいけないと僕はこの3年間で学びました。勝ってる時も負けてる時も、1試合で感情を変えてはいけないと思うので、僕はそれを伝えようとしています。全員が爆発して喜ぶのではなく、一人でも冷静でいられる存在がいることは大事だと思っているので。その役割を保ちつつ、この勢いを殺さず、福田さんのバスケットを表現してリーダーシップを発揮していきたいです」

プロ4年目の25歳にして、ベテランのような落ち着きを持つ生原。様々な苦難を乗り越えた生原が舵を握った途端に暗雲は吹き飛び、海賊船の前方に光が差し込んできた。

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