勝利を決定づけるビッグプレー
横浜ビー・コルセアーズは大阪エヴェッサとの初戦に75-70で勝利し、連敗を3で止めた。
そして、特別指定選手として横浜に入団した青山学院大3年の赤穂雷太は、デビュー戦でチームを勝利に導く決定的な仕事をやってのけた。
最終クォーター残り12秒、3点リードの場面でコートに送り出された赤穂は、アイラ・ブラウンへのインバウンドパスをカットし、そのままレイアップを成功させた。同点に追いつかれる可能性がある状況、赤穂のスティールにより追撃を断ち切った横浜が勝利を手にした。
直前にレジナルド・ベクトンのスピードのミスマッチを突かれたことで、横浜は橋本拓哉に3ポイントプレーを許した。そこで、この日から正式にヘッドコーチへと昇格した福田将吾は、ベクトンに代えて赤穂をコートに送り出す。その赤穂は「確証はなかったですけど、新しく入ったばかりの自分を狙ってくると考えていたので、ある程度届く距離でついていって読みが当たりました」と、最後の場面を振り返った。
福田ヘッドコーチは「非常にバスケットIQが高く聞く耳も持っている子なので、今後非常に楽しみな選手。B1のレベルで西地区1位の相手にひるまず自分のプレーを淡々とやれてメンタル面においてもタフな選手」と称賛した。
「アイラ選手にはそこまでやられていないイメージ」
赤穂は13分37秒のプレータイムを与えられ、5得点2リバウンド1スティール1ブロックショットを記録した。記念すべきプロ初得点は、ボードを利用したバンクシュートでの3ポイントシュートとなった。「打った瞬間に自分でも強いなって思ったのが入ってくれたので、運を味方につけることができた」と、赤穂は照れ笑いを浮かべた。
突出した数字を残したわけではないが、ディフェンス面での貢献度は非常に高く、長いウイングスパンを利用したブロックショットに加え、196cmの長身を生かしたリバウンドへの参加など、その力強さには目を見張るものがあった。
特筆すべきは代表経験豊富なアイラに仕事をさせなかった点だ。赤穂も「アイラ選手にはそこまでやられていないイメージはあります」と言うように、ポストアップされてもフィジカルで押し負けず、身体を張ってオフェンスリバウンドを許さなかった。帰化選手であるアイラの存在は大阪のアドバンテージとなっているだけに、このマッチアップで負けなかったことが勝因の一つと言える。
最終盤に起用され、最終クォーターで6分半のプレータイムを与えられたことが示すように、すでに指揮官からの信頼は厚い。決して自分を過大評価せず、どちらかと言えばネガティブシンキングだと言う赤穂だが、「活躍できる自信はないんですけど、そこそこはできるのかなって。少しは自信がついた部分はあります」と、控えめながらも手応えを得たようだ。
強心臓ぶりを発揮し、横浜浮上のキーマンとなれるか
サイズアップを進める日本代表を見据え、市立船橋高校時代はビッグガードとして1番ポジションでプレーした。大学ではボールハンドラーを務める場面もあるが2番や3番を本職とし、横浜では2番での登録となった。
「2番、3番のポジションが自分の中で一番しっくりきていて、今は自分の得意なポジションを伸ばしていけばいいと思っています」と、赤穂はB1の舞台で自分の強みを最大限に磨いていく。
長身ながら1番から3番までこなせる万能性に加え、指揮官が評価するバスケットIQの高さ。そして、デビュー戦が強豪の大阪だったにもかかわらず、「特に他の地区の1位って意識はしてなかったです。臆することなくプレーできた」という強心臓ぶりを見せた赤穂。
横浜が残留プレーオフ圏内から抜け出し、チャンピオンシップ出場を実現するには、即戦力ルーキーの活躍がカギを握る。
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