文=丸山素行 写真=B.LEAGUE

試合巧者ぶりを発揮したA東京が連勝を飾る

アルバルク東京vs富山グラウジーズの第2戦は、序盤に先行されるもディフェンスの強度を上げ、中外バランス良く得点を重ねたA東京が勝利した。

第1クォーターは富山のデザインされたオフェンスに翻弄され、ノーマークでシュートを打たれる場面が何度も見られた。サム・ウィラードに2本の3ポイントシュートを含む9得点を奪われ15-21とリードを許す。それでも第2クォーターに入ると、A東京が反撃。5人が流動的に動き、素早いパス回しから常にオフェンス優位な攻撃を展開した。ジャワッド・ウィリアムズと安藤誓哉の2本の3ポイントシュートで逆転し、アレックス・カークとランデン・ルーカスがインサイドで加点するなど、中外バランス良く得点を積み上げた。

一方、富山はドリュー・ヴァイニーが9得点、デクスター・ピットマンがインサイドで得点し食らいつく。それでも外国籍選手3人でしか点の取れない富山に対し、A東京は7人が得点し8アシストを記録して26-15とこのクォーターで逆転した。

後半に入ると一進一退の攻防が続く。宇都直輝が個人技で打開し6得点を挙げるが、A東京は竹内譲次が8得点を挙げる。また毎クォーター必ず一度は速攻で得点するA東京に対し、得意のトランジションを封じられた富山は流れに乗れなかった。最終クォーターに入ってもディフェンスの強度が落ちないA東京は、約3分半富山を無得点に封じ、その後も2桁のリードを保ち続けた。

残り1分54秒、なかなか点差が縮まらない富山はフラストレーションが溜まり、ウィラードがリバウンド争いでアンスポーツマンライクファウルをコールされた。このフリースローをルーカスが落ち着いて2本とも沈め、75-60としたところで勝負あり。試合巧者のA東京が粘る富山に流れを渡さず勝利を手にした。

気持ちの勝利。「魔法のような作戦はなかった」

ルカ・パヴィチェヴィッチヘッドコーチは、なかなか突き放せなかった展開の中で気持ちが勝利につながったと強調した。「必ずハードに来ると予測していました。選手は気持ちで負けない、打ち勝つという気持ちで戦いました。我々に良い波がなかなか来なかったですが、そこは我慢して戦いました。気持ちでは必ず負けないということで、最後勝てたので良かったです」

また逆転した第2クォーターでは「これという魔法のような作戦はなかったです。選手たちは2日目の戦いということを理解してプレーしてくれました。『目を覚まさなければいけない』、『気持ちで負けるな』、『一つひとつのプレーを大事に』ということは伝えました。それを形で示してくれました」と特別な戦術ではなく、メンタル面を鼓舞したことが勝因となったと説明した。

要所での正確な3ポイントシュートが光った安藤は「クリエイトしてもらって、決めなきゃいけないシュートだったのでそれを決めれたのは良かったです」と自分のプレーを振り返った。「これまではそれぞれ100%の役割というのを見つけられてない部分がありましたが、コミュニケーションが取れてきて毎週毎週良くなっていってます」と語る。

「確実に今日は昨日より良かった」

敗れたミオドラグ・ライコビッチヘッドコーチは「昨日よりエネルギッシュにプレーしてくれました。確実に今日は昨日より良かったです。私がインストールしようとしているディフェンスが選手に浸透し始めていると感じたゲームでした」と104失点を喫した初戦からのステップアップが見られたと収穫を語った。

ディフェンスを売りにしているA東京に対し、得意の速攻を封じられたことが痛かった富山。それでも現在首位のチームに対し、デザインされたオフェンスやディフェンス面でのステップアップなど収穫の多い一戦となった。黒星が先行しているが、試合中も『good』と選手を鼓舞する、ライコビッチコーチのポジティブバスケに期待が持てる内容だった