文・写真=鈴木栄一

終始試合をコントロールした千葉が危なげなく勝利

10月27日、千葉ジェッツが敵地である沖縄に乗り込み琉球ゴールデンキングスと対戦。試合を通して堅実なディフェンスを見せることで72-61と琉球をロースコアに抑えて勝利を収めた。

第1クォーター、千葉はギャビン・エドワーズが外角シュートを高確率で沈めると、マイケル・パーカーも続いて22-16と先手を取る。第2クォーターには石井講祐がこのクォーターで3ポイントシュート3本中3本成功と活躍、守備も機能してリードを15点にまで広げて前半を終えた。

第3クォーターに入るとホームの琉球が反撃を開始。アイラ・ブラウンの豪快なダンクに加え、このクォーターで計4つのオフェンスリバウンドとセカンドチャンスを作り出すと、岸本隆一、津山尚大のガードコンビで計12得点をマーク。終了間際には二ノ宮康平が3ポイントシュートを沈め、4点差まで詰め寄った。

琉球の流れで迎えた第4クォーターだが、ここで千葉は持ち味の堅守が復活。激しいプレッシャーで琉球にタフショットを打たせて、試合をコントロール。第4クォーターの失点をわずか7と押さえ込み、最後は余裕を持って逃げ切った。

富樫と西村のダブルガード、強力なオプションが誕生

千葉の大野篤史ヘッドコーチは、「40分間、ディフェンスで粘れたことが勝ちにつながったと思います」と勝因を語る。第3クォーターにおける28失点についても「オフェンスリバウンドで少しボールへの執着心が低くなったしまったところで、相手に点数を多く与えてしまったと思います。ただ、ディフェンスの強度は変わらなかった」と、試合全体を通して守備自体は安定していたと振り返る。

勝負の第4クォーター、千葉は富樫勇樹、トニー・ガフニー、ギャビン・エドワーズといつものメンバーに、西村文男とアキ・チェンバースを加えた5人がほぼフル出場。富樫と西村のダブルガードを今シーズン初めてと言える長い時間にわたって起用したのが機能した。

この試合、千葉は石井、原修太のシューターコンビが2人で3ポイントシュート計7本中5本成功と、確率よくシュートを沈めていた。その中で、西村を起用した意図を「前半、石井と原はシュートタッチが良く、ディフェンスでもハッスルをしていました。しかし、後半になってシュートが入らない、シュートが打てないとなった時、ディフェンスがルーズになったと感じたので変えました」とコメント。

さらに、「もともと西村のプレータイムを制限していたのはケガをしていたからです。ダブルガードは(水曜日の)北海道戦で試合の最後に試して、サイズのないチームに有効。自分たちのオフェンスも安定しているように見えていました。また、今日は津山選手のハイピックに対して、原、石井と後半ルーズに見えていた。ボール運びに関して、すこし勇樹にストレスが見えていたので起用しました。文男の脚が治ったら試そうと思っていたことをできたのは良かったです」と好感触を得た模様。強豪の千葉にまた一つ強力なオプションが生まれている。

チームプランを遂行できず指揮官は「危機感」

一方、琉球の佐々宜央ヘッドコーチは「本当に強豪、昨シーズンもオールジャパンを優勝している千葉に対して、本当に気持ちを入れて戦いたいところですが、最初は面食らっていました。最後もそうですが、シュートを打ちきれなかった。周りに任せてボールが止まってしまうところがありました」と試合を振り返る。

ここ一番で単純なミスを犯したり、インサイドで攻めるべきところに単発の外角シュートを打つ。ピック&ロールを使うべきところで1対1を仕掛けてしまうなど、チームプランを試合を通して遂行しきれない点について「非常に危機感を感じています」と険しい表情。

ただ、ディフェンスに関しては「やられていけない選手が富樫で、最後のファウルゲームでのフリースローを除けば3点に抑えました。そこのポイントは絞れていました。また、ファウルゲームがなければ60点台に抑えられたのは良かった」と一定の手応えは得ている。

台風の影響で28日の試合が29日に順延と、リーグで初の中1日を挟んでの試合となる2試合目。この今までにない休養日がどんな影響を与えるのかも含め、第2戦は興味深い戦いとなる。