文=丸山素行 写真=B.LEAGUE

「コートに立ったら自分のほうが上」という強気

10月25日、サンロッカーズ渋谷は攻守ともに圧倒するパフォーマンスを見せて栃木ブレックスに勝利した。前半を24失点に抑えたディフェンスも素晴らしかったが、今シーズン2番目に多い85点を積み上げたオフェンス力も目立った。

特にチームハイの15得点を挙げた満原優樹の存在は大きかった。3ポイントシュートからインサイドプレーまで、『ストレッチ4』のお手本のようなプレーを披露。満原が外に出ることでロバート・サクレが広いスペースでプレーでき、自分よりも小さい選手がマークについた時にはミスマッチを攻める順応性を見せた。

「3ポイントもそうですが、僕のシュートは入りましたけど、それまでの過程がチームとしてやれていたので、打つべきシュートを打って入ったことが良かった」と満原はチームオフェンスの出来に満足気だ。

マッチアップしていたのは日本を代表するビッグマンの竹内公輔。オン・ザ・コート「1」の時間帯では、日本人ビッグマンのパフォーマンスが戦局を左右するほど大きな役割を持つ。「マッチアップで公輔さんになると分かってたし、そこで負けてたらオン1の時にサンロッカーズは勝てないと言われるので、そこで結果を残せば僕の自信にもなりますし、いつもより意識してました」と満原。

それでも「1対1というより、しっかり走ってリバウンドに飛びついていく、シンプルにそれだけしか考えてなかったのが良かった」と、個の対決に固執するのではなく自分の役割に集中するシンプルな思考が結果につながったと言う。

「僕の場合、失うものはないです。プレー中に相手のほうが上だって考えてプレーしてる選手なんていないと思います。コートに立ったら自分のほうが上だという気持ちでプレーするのは当たり前なので、日本人で同じポジションであれば負けちゃいけないと思っています」と、竹内を相手にも臆することのない姿勢を貫いた。

「そのクォーターで負けていたら自分の責任」

今シーズンのSR渋谷は『ディフェンスから走る』というスタイルを目指している。そのためには機動力が必要不可欠で、満原はそれに適応すべくシーズンオフに身体を絞った。「今シーズンはディフェンスして走るチームを作りたいと言われていて、今の身体のままじゃダメだということでやりました。119kgくらいあったんですけど、12~13kg絞りましたね」

減量の成果はコート上のプレーにしっかりと表れている。軽快さが増し、今のスタイルに変更したことで満原は輝きを取り戻した。「高校はそういうチームでしたし、それは好きだし合ってるなって思います」とディフェンスから走りまくっていた能代工業高校時代のスタイルが、満原のパフォーマンスを支えている。

またジョシュ・ハレルソンとロバート・サクレの強力インサイド陣の強みを引き出すのも、満原の重要な貢献の一つだ。「サクレがインサイドを攻めてる時は僕が外寄りです。ジョシュの3ポイントは武器になるので、僕の仕事的にロブ(サクレ)だったらロブに、ジョシュだったらジョシュに僕から合わせてあげるっていうのは自分の長所だと思います。チーム的にうまくプレーできるようにっていうのは意識してやってますね」

オン・ザ・コート「1」の時間帯での出場が主な満原は「そのクォーターで負けていたら自分の責任だと思いますし、自分がやるという気持ちでいます」と自らに責任を課す。

現在はオン・ザ・コート「1」が主戦場ではあるが、ビッグラインナップの可能性なども考えると、満原の存在が今後のSR渋谷の伸びしろになってくる。満原はプレースタイルだけでなく、その柔軟な思考と適応力でSR渋谷を支えていく。