栗原三佳が語るバスケ部時代vol.3「自分の個性は『好き』で探す」

2016/07/07
日本代表
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文=鈴木健一郎 写真=野口岳彦

『バスケット・グラフィティ』は、今バスケットボールを頑張っている若い選手たちに向けて、トップレベルの選手たちが部活生時代の思い出を語るインタビュー連載。華やかな舞台で活躍するプロ選手にも、かつては知られざる努力を積み重ねる部活生時代があった。当時の努力やバスケに打ち込んだ気持ち、上達のコツを知ることは、きっと今のバスケットボール・プレーヤーにもプラスになるはずだ。

PROFILE 栗原三佳(くりはら・みか)
1989年5月14日生まれ、大阪府出身。試合展開にかかわらず豊富な運動量を生かして攻守に渡ってチームを支える万能派スモールフォワード。決まり出したら止まらない3ポイントシュートが最大の武器で、リバウンドやブロックでも強さを見せる。

練習に関しては量よりも質を高めていくべき

自分の理想とする選手の真似をするのもいいですが、誰かの真似をして成功するとは限らないので、自分自身がどうあるべきかを見つけ出すことが一番です。個性をどれだけ出すかで成功するかしないかが決まるんじゃないかな。

私の場合、「シュートが得意だから積極的に打っていけ」というアドバイスを先生からいただいたのをきっかけにして、自分でも意識を持つようになりました。ポジションを問わず、どこからでも打てるように、シュートを集中的に練習するようになったんです。今は動きのある中での3ポイントシュートが自分の持ち味ですが、それはこの練習で作り上げたものだと思います。

自分の個性が分からなかったら、「何が好きか」を考えればいいんです。シュートが好きだったらポイントゲッターを目指せばいいし、ドリブルが好きならそれを極める。それが個性になります。私はシュートを打つのが好きでした。打つからには決めたいという気持ちもあって、すごく練習しました。

練習に関しては量よりも質を高めていくべきです。シュートで言えば、悪いフォームのまま何本打っても意味がないので。例えば試合の中で、打ちやすいポジションとか流れがあったら、そこを集中的に練習してモノにするとか。逆も同じで、5対5の練習の中で「あのシュートは打ちにくかった」とか「こういうシュートは入らなかった」というのを見付けて、その苦手なことを練習で解消していくんです。

結局、どれだけ練習しても試合で決められないのでは意味がないので、試合や試合形式の練習での自分のプレーを振り返って、できたこと、できなかったことを整理するのが、練習の質を高めることになります。そうやって長所を伸ばし、短所は改善して、自分のバスケのバリエーションを増やしていくんです。

バスケから離れてみて分かることもあります

もし、練習が厳しすぎて嫌になっていたり、バスケを楽しいと思えなくなっているようであれば、一度バスケから離れてもいいと私は思います。離れてみて分かることもあります。それで少しでもバスケが気になるなら戻って来ればいい。第三者としての立場でバスケを考えて、やりたいと少しでも思うのであればやるべきですよね。

もし時間を置いても戻りたいとは思えなかったら、そこから第二の人生を始めればいいんです。みんなバスケットが好きで頑張っていると思うのですが、「やらなきゃ」じゃなく、「やりたい」とか「やってみようかな」でもいいので、自分の思うようにバスケに接してもらえれば。

私はバスケがないと生きていけないタイプではないです。仕事というわけでもないのですが、シンプルに「負けたくないから」という気持ちでやっているので。

好きなバスケを仕事にしているのは素敵なことだと思います。環境に恵まれて、運良くここまでたどり着けたことは、すごくうれしいです。私が今いるのは、人が簡単に立てる場所ではないと自覚しています。

それは分かっているんですけど、それなりの犠牲も払ってきたつもりです。今こうやって日本代表にいるのはすごい確率のことで、みんな難しかったんだろうと言ってくれるんですけど、私にとっては「簡単ではなかったけど、そう難しくもなかった」と言うか……。ここまで来るだけの犠牲を払ってきたんだから、という感覚です。

私はバスケによって人間的に大きく成長させてもらいました。部活時代、バスケは「趣味」でした。趣味だから、時間を忘れて没頭しますよね。でも今は「仕事」という感覚が強いです。学生と違ってバスケでお給料をいただいているので。一般の人が会社で仕事をするのと一緒ですね。できないことがあったら、できるようにならなければいけない。ミスをしたら挽回しなければいけない。そういう意識でバスケに取り組むようになったという意味で、部活時代とはバスケとの接し方が変わっています。

日本代表はオリンピックに向けてチームを作っています。今は自然災害のダメージもあって、日本全体が落ち込んでいます。こういう時だからこそ、メダルを持って帰って元気付けたい。そうやって日本が盛り上がるような話題に、私たち日本代表がなれればいいと思います。メダルを目指して頑張ります。

「こういう時だからこそ、メダルを持って帰って元気付けたい」とリオ五輪への意気込みを語った。

バスケット・グラフィティ/栗原三佳
vol.1「考えるバスケとの出会い」
vol.2「バスケも勉強も、自分に負けたくなくて」
vol.3「自分の個性は『好き』で探す」