「いかにチームがやりやすい状況でプレーできるか」
琉球ゴールデンキングスは、12月21日と22日の京都ハンナリーズ戦に連勝。佐々宜央ヘッドコーチの途中退任という激震に見舞われた直後に行われたホームゲームで、キングスファンを安心させるパフォーマンスを見せた。
22日の試合、琉球を勢いに乗せる活躍を見せたのが石崎巧だ。16分の出場で3ポイントシュート6本中5本を含む17得点をマーク。今シーズン初の2桁得点を挙げるとともに、持ち味の巧みなゲームメークでチームを勝利に導いた。
「たまたまシュートが入りましたが、それ以外に関しては特にものすごく良いパフォーマンスではないです」
このように淡々と、今シーズンベストのスタッツを残した試合を振り返る石崎は、今のチームにおける自身の役割をこう語る。「相手の動きに対してコートの中でどれだけ反応を見せることができるか。それが僕の役割です。役割はその都度、試合によって変わりますが、いかにチームがやりやすい状況でプレーできるか。それを念頭に置いてプレーしています」
昨シーズンの彼は、全試合がベンチスタートだったが、今シーズンはここまで22試合中14試合の先発出場。プレータイムも増え健在ぶりを示すベテランは、オフに橋本竜馬、古川孝敏と経験豊富な選手が抜けたがチームをあるべき方向に導く舵取り役を担っている。
「今シーズン、自分の役割は選手としてプレーする以外のところで負う部分が少し増えました。ただ、コートの上では変わらないです」
「それぞれの役割の本質を考え直す時期に来ている」
石崎と前指揮官の佐々は、東海大学の同級生であり、2人の間には他の選手とは違う歴史や関係性があった。そんな石崎は、佐々の退任について、「どう表現したかいいのか難しいですけど」と前置きし、慎重に言葉を選びながら思いを明かす。
「今回の件は佐々だからというわけではなく、バスケに限らすスポーツ界にいる上では避けて通れない問題です。チームとしてのあり方、それぞれの役割の本質、そういったものに関して少し僕たちは考え直す時期に来ている。チームスポーツに携わる人間がいかに最大限に発展していくかを考えた時、根本的な構造として、今のやり方ではそれぞれのスタッフ、選手にかかる負担は計り知れない。特に精神的な負担は無視できないし、これまでのやり方を考え直す時期に来ていると思います」
このように少なからず感情の揺れがあった中で迎えたこの2連戦だが、「とにかくニュートラルな気持ちで臨む。結果がどう出るにしても感情的な部分を取り除いて対応しなければいけないと考えていました」と、平常心を強く心がけていた。
「今回の影響は少なからずありますが、いかに物事を的確にとらえられるかを意識しました。ある意味、それもまともな状況かと言われたら、分からないです。ただ、あまり考えないで臨んでいました」
「より効率的な戦い方をそれぞれが判断している」
大黒柱ジョシュ・スコットの負傷離脱、指揮官の途中交代と大きなアクシデントに見舞われている琉球だが、それでも現在15勝7敗と白星先行。すでに藤田弘輝ヘッドコーチの下で、前を向いて再スタートを切った。それは石崎も同じであり、チームの成長に徐々にだが好感触を得ている。
「選手全体で試合の中でも修正力が高まっている。試合を通じて起きていることに対応し、より効率的な戦い方をそれぞれがコートの中で判断してきている良い状況です」
12月の残り3試合、琉球は名古屋ダイヤモンドドルフィンズ、島根スサノオマジックとの同地区対決が続く。そして年明け早々、1月4日、5日とホームで宇都宮ブレックスを迎え撃つ。まずは目の前の試合に集中していくことが大前提としてあるが、その上でアルバルク東京、川崎ブレイブサンダーズと優勝候補相手に今シーズン4戦全敗のチームが、どこまで対抗できるかは大きな試金石となる。これから3シーズン連続の地区優勝へ向け、踏ん張りところが続くチームにおいて、石崎のコート内外における存在感はより大きくなっていく。
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