富樫勇樹、責任感で放つクラッチシュート「ああいう場面は自分の時間だと思って」

富樫勇樹、責任感で放つクラッチシュート「ああいう場面は自分の時間だと思って」

2019/12/18

富樫勇樹

「勝ち切ることができた、それがすべて」

今シーズン、千葉ジェッツは苦しんでいる。ここまで13勝8敗と、成績はひどく悪いわけではないが、粘り強いディフェンスから電光石火のトランジションという、自分たちのバスケットを見失った感がある。実際、敗れた試合はすべてエナジーで相手チームを下回った。

先週末の大阪エヴェッサとの第1戦も、出だしから相手の勢いに飲み込まれ、ディフェンスでもリバウンドでもルーズボールでも、千葉が本来出すべき激しさを大阪に出されての敗戦だった。12月15日の第2戦も、相手のエナジーが上回る時間帯が続く苦戦を強いられたが、そこで流れを強引に呼び込んだのが富樫勇樹の強気なプレーだった。

延長戦に入った時点で、リードしながら勝ち切れなかった千葉には勢いがなかったし、ファウルトラブルに苦しんでもいた。大阪も消耗は激しかったが、今シーズン最多の6472人を集めた会場の熱気に後押しされており、千葉にとっては厳しい状況だった。

それでも、第4クォーターの出だしでシュートが当たり始めた富樫に、爆発の予兆はあった。延長に入って3ポイントシュート2本を含む6得点。ここは伊藤達哉とのシュート合戦で差がつかなかったが、2度目の延長でも5得点を記録して、粘りに粘る大阪を振り切った。分かっていても止められない、そんな富樫の大爆発あってこその勝利だった。

「いろいろありすぎて、なんかもう覚えてないんです」と、試合後の富樫はホッとした笑みを見せる。「お互いに良い時間帯と悪い時間帯があるゲームでしたけど、こうやって勝ち切ることができました。それがすべてです」

富樫勇樹

「その時に打てるシュートを打つしかなかった」

1週間前の富山グラウジーズ戦、富樫は試合中に腕を痛めて一度ロッカールームに下がり、そこから左腕にサポーターを巻いてプレーしていた。この試合も同じだったが、試合途中にサポーターを外すと勢いを増し、難しいシュートも次々にねじ込むことになった。

「その部分は良くなっているんですけど、また違うところを打撲していて。でも試合が続いているし、よくあることです。それに、試合になってシュートを打つ瞬間にどこかが痛いって感覚ではやっていません。アドレナリンが出ているのかなんなのか、アップ中は痛くてもゲーム中は感じないです。だから調子が悪くてもケガが原因ということはないと思っています」

では、疲れが蓄積する第2戦のオーバータイムになって、シュートの精度が研ぎ澄まされていく秘訣は何なのか。富樫にとってその答えは、勝負どころを担う責任感だ。

「ああいう場面を自分の時間だと思えるぐらい、責任感を持ってプレーしているつもりです。ずっとそうやり続けてきたことが、この試合に繋がったんじゃないかと思います」

タフな状況でこそ自分が責任を持ってシュートを打つ。富樫はその部分を追求する一方で、確率にはこだわらない。この試合では35得点を挙げたものの、フィールドゴール成功率は37.5%(32本中12本)と決して良くはない。ただ、責任を持って打ち切ることが大事だと富樫は説く。

「打つべき時に打つこと、それが一番良い確率で入ると思っています。でも今日の場合はダブルオーバータイムだし、両チームとも全員がかなりの疲労度の中でやっていました。そうなると確率どうこうではなく、その時に打てるシュートを打っていくしかなかったです。今日の試合については確率は関係ないです」

富樫勇樹

「自分にできることは、今までやってきたこと」

大阪エヴェッサは千葉をホームに迎える一戦に際して『一億の男、富樫』を強調して、対決ムードを盛り上げた。結果として5415人、6472人と2試合ともにチケット完売の大入り。Bリーグ人気の向上に富樫が一役買っている。実際、おおきにアリーナ舞洲に向かうバスの車中では、小さな子供が母親に「富樫、楽しみだね」と語り掛ける声が聞かれた。

1億円プレーヤーになったことも含めて、知名度はこれまで以上のものとなった。期待が高まる分、それをプレッシャーに感じることもあるのではないか。それでも富樫は「自分にできることは、今までやってきたことでしかないので」と割り切っている。

「もちろん、期待に応えるプレーを見せたい気持ちは常に持っていますけど、それはプレッシャーになっているわけではないので。今日の試合でもたくさんお客さんが入って……6472人はすごいですね。実際に試合前、このアリーナの雰囲気を見てうれしかったです。今日が初めてのアリーナ観戦だった人もたくさんいると思うので、こういうゲームを見て、次のゲームにも期待してもらえただろうから良かったです」

Bリーグ1年目は田臥勇太の行くところで次々と観客動員の記録が打ち立てられた。富樫も今、スピードとシュート精度、そして勝負度胸で結果を残し続けることで、そういう存在になりつつある。彼がいる限り、千葉は多少の苦戦を強いられたとしても、きっとまた高く浮上するに違いない。

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