梅沢カディシャ樹奈

アジアカップは代表落選「欠点を見直せた」

バスケットボール女子日本代表は、今日から行われる『東京オリンピック プレクオリファイングトーナメント』に出場。今日の初戦でインド、続いてチャイニーズ・タイペイ、オーストラリアと対戦する。

今回、4連覇を達成したアジアカップから複数の主力選手が参加を見送った結果、インサイド陣は髙田真希と長岡萌映子が不在となり、若手にチャンスが与えられる。その代表的な選手が梅沢カディシャ樹奈だ。日本人選手では屈指のサイズを生かしたパワープレーを武器に、梅沢は昨シーズンから所属するJX-ENEOSサンフラワーズの先発に定着している。次のステップとして代表メンバー入りが期待されたが、アジアカップの12名に残ることはできなかった。

代表候補としてずっと合宿に参加していながら最後に落選したアジアカップについて、「すごく悔しかった」と梅沢は振り返る。その一方で「大会前の実戦でのプレーは良くなかったと思います。JX-ENEOSに帰って、自分の欠点をより見直せたのは良かったです」と、自身の力不足を痛感したと続ける。

今回のメンバー入りについては、「アジアカップを勝ったのでもっと中心メンバーの人たちが選ばれると思っていました」と驚いた部分もあった。ただ、せっかく得た失地回復の機会であり、「選ばれたからには自分の強さを生かし、見返せるように頑張っていきたい」と、穏やか口調の中にも強い覚悟を示す。

まず、梅沢に求められるのは、今の代表ではインサイドの選手でも不可欠とされるアウトサイドからのシュート力。本人も「代表では3ポイントシュートを打たないといけないので意識しています。アジアカップに出場できなかった後、これまで以上に打ち込みました。打てるところを見せたい」と、課題であることは十分に自覚する。

また、さらに本人が意識するのは状況判断だ。外のシュートは大事だが、梅沢には他の選手にはないパワーもある。ゴール下へのアタックもうまく織り交ぜることで、彼女らしさをより発揮できる。「今回は自分より身長の高い選手がたくさんいるので、中のプレーだけでは通用しないです。外から攻めるだけでなく、中でも自分のパワーを使ってうまく駆け引きをする。その状況判断をしっかりできるようになりたいです」

梅沢カディシャ樹奈

「敵は自分なので、他の人のことは考えていない」

東京オリンピックまで約250日。梅沢の置かれている状況は代表入りの11番目、12番目の椅子を争う立場というのが現状だ。オリンピックまでにアピールできる機会はそう多くなく、一つの実戦が持つ意味がより大きくなる。

とはいえ、今の彼女は「先のことを考えると、焦ってごちゃごちゃになってしまいます。まずは目の前の課題から改善していきたい」と冷静だ。過酷なサバイバルレースについても「先輩の上手なところはどんどん見て、自分のものにしていきたいです。ただ、敵は自分なので、他の人のことは考えていない」と、自身のレベルアップに注力するのみと言う。

今大会、日本にとって一番のビッグゲームは同じグループとなったオーストラリア戦となる。アジアカップはWNBAのシーズンだったために欠場した203cmの大黒柱エリザベス・キャンベージが出場する強力な布陣だ。ゴール下での厳しい戦いが避けられない状況、逆に梅沢にとってはキャンベージのいる世界屈指のインサイド陣を相手にインパクトを残すことができれば、これ以上ないアピールとなる。まさにピンチはチャンスの状況、梅沢がマレーシアでどんなプレーを見せてくれるのか楽しみにしたい。