躍進の京都を象徴する異端のルーキー中村太地「4、5年前から思い描いていた姿」

2019/11/07
Bリーグ&国内
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中村太地

初のファウルアウトも「僕の中ではオッケーです」

京都ハンナリーズでは新戦力の活躍が著しい。

昨シーズンまでシーホース三河に所属したシューターの松井啓十郎は、流れを変えるシックスマンとして起用され続けてきたが、キャリア11年目にして先発で起用されている。その期待に応え、キャリアハイとなる平均約33分のプレータイムを得て、現在28本(リーグ2位)の3ポイントシュートを40%の高確率で沈めている。

そして、法政大バスケ部を退部して、プロの世界に飛び込んだ中村太地も好調の京都を支える活躍を見せている。

中村は若手主体の代表の一員としてジョーンズカップにも参戦した190cmの長身ガード。ここまで12試合すべてに先発し、24.5分のプレータイムで7.1得点を記録している。3ポイントシュートに関しては48.3%と高確率で、大黒柱であるジュリアン・マブンガをして「タイチが3ポイントシュートを決めてくれる」と、チームの好調の要因に挙げていた。

プロ1年目からいきなり主力を任された中村は様々な経験を積み重ねている。千葉ジェッツから残り0.4秒で逆転勝利を収めた翌日の第2戦、中村は初めてファウルアウトし、チームは大敗を喫した。「アルバルク(東京)の時も一緒だったんですけど、アウェーで2つ勝とうとしているのに、審判と戦ったりしていました。もっと自分たちにフォーカスして、やるべきことを遂行しないといけなかった。また勉強になった試合でした」

審判とコールの基準についてコミュニケーションを取ることは必要でも、戦うことは無益だ。結果的に中村は最終クォーターでわずか1分しかコートに立てずに退場となった。「もちろん退場はまずいですけど」と前置きをしながらも、中村は「僕の中ではオッケーです」と、持論を展開した。

「あの点差と時間で僕がプレッシャーをかけなかったら、絶対ディフェンスもうまくいかないし、ターンオーバーも誘えないです。そうしないと僕たちの流れにならないと思って攻めにいったので、何とも思わないです」

退場となった選手はえてして自責の念に駆られ、ファウルをしないことにフォーカスしやすい。新人であればなおさらだろう。だが、中村の場合は点差と時間を計算し、明確な考えがあった上でのプレーであれば、結果を後悔する必要はない。

中村太地

「バスケットに集中できる環境をずっと求めてきた」

前述の通り、中村は法政大バスケ部を退部して、現役大学生の立場で京都とプロ契約を結んだ。学業との両立は部活プレーヤーの永遠のテーマだが、中村は自信を持って文武両道プレーヤーであることを自負する。「単位はほぼ終わっていて授業もないですし、後期は一個テストを受けるだけです。当たり前じゃないですか、うまくやってますよ申し子です(笑)」

申し子かどうかはさておき、中村は常に先を見据えて行動してきた。大学1年から3年まで、チームを変えては特別指定選手としてプロの世界に触れてきた。特別指定を終えた選手や新人が1年目からプレータイムを獲得できるケースは決して多くない。だが、常に一歩先を見て行動する中村からしてみれば、現状は予定通りだという。

「もちろん、先はずっと見てます。僕はバスケットに集中できる環境をずっと求めて、高校生の時から頑張ってきました。今こうやってプレータイムをもらえているのも4、5年前から思い描いていた姿ではあります」

中村はいつかユーロリーグでプレーしたいと、海外挑戦の夢も語った。だがそれは、Bリーグで確固たる結果を残した後の最終ゴールだ。それを実現させるためのステップとして、今シーズンの目標は「チームを勝たせること」を掲げている。

「終盤はマブンガとか(デイヴィッド)サイモンにボールがいくことが多いので、終盤に任せられるような選手になりたいです。Bリーグは外国籍選手が2人いて、2人との融合や共有が永遠につきまとっていく課題だと思うので。外国籍じゃなく『お前がいけ』って言われるような信頼関係ができたら最高です」

自分のバスケ人生を真剣に考え、先を見据えて一つひとつの選択肢を選んできた中村。近い将来、終盤にゲームをコントロールする中村の姿が目に浮かぶ。