終盤に8得点を集中させた『エースの仕事』
宇都宮ブレックスは週末のシーホース三河戦に連勝し、調子を上げている。
第2戦で比江島慎は14得点3アシストを記録。「試合終盤は取るべき選手が取らなきゃいけない時間帯で、試合の中で一番集中力が上がる時間帯でもある」と語ったように、最終クォーターに得意のドライブなどで8得点を集中させて、勝利に大きく貢献した。
比江島は自らがボールハンドラーとなりアタックしたシーンをこのように振り返る。「スイッチしてきて相手が(桜木)ジェイアールだったり(ダバンテ)ガードナーで、あまり横の動きには強くないと思ったので思い切っていきました」
左右に揺さぶり、緩急を駆使した比江島のドライブを止められず、三河はディフェンスに定評のある加藤寿一を起用し、この試合18得点を挙げた岡田侑大をベンチに下げることになった。
もっとも、大事な時間帯で比江島の個を強調することは多々ある。安齋竜三ヘッドコーチも「最後にアタックしてほしいという思いはあって、彼には常にああいうプレーをしてほしい」と話しており、「やれる武器を持っているのは分かっているが、彼がどこでスイッチが入るかを探っている状況」と、比江島が安定したパフォーマンスが出せるパターンを模索しているという。
『ゴートゥーガイ』にはなれていないだけに、比江島自身も「まだこのチームではそこまで貢献できてないというのが正直なところ」と、期待の大きさは理解している。
第2戦ではエースの役割を果たしたが、バスケット・カウントになりそうな場面でシュートを決めきれず、頭を抱えるシーンも何度か見られた。「ポロポロ外してしまって、あれはあり得ない。そこが大満足になれないところです」と、歯がゆい思いを抱えた。
「ディフェンスの貢献度は上がっている」
やはり、比江島と言えば、『比江島ステップ』と称されるドライブなどオフェンス面に注目が集まる。それでも、指揮官は「ディフェンスのメンタルがすごく良くなっている。オフェンスだけではない、バスケットボール選手としてのレベルが上がっていると思う」と称賛する。
実際、第2戦の勝利を決定づけるシーンを演出したのも比江島のディフェンスだった。橋本晃佑の3ポイントシュートにより、3点ビハインドを背負った三河はタイムアウトを要求。その直後、長野誠史からガードナーへのパスを比江島が弾き、遠藤祐亮の速攻を生み出した。
「ブレックスの複雑なディフェンスは昨シーズンに理解したので、余裕ができたのもあります。ワールドカップから意識してますし、成長できているとは思います」と比江島も言う。
「ディフェンスにも注目してほしいのでは?」と尋ねると、「それは思いますね(笑)」と苦笑い。「三河の時に比べたら、オフェンスの回数は減ってるかもしれないですが、その分ディフェンスの貢献度は上がっていると思うので、そこも見てほしいです」
宇都宮は次節、開幕から無敗で東地区首位を走るサンロッカーズ渋谷と対戦する。SR渋谷はリーグトップの平均85.2得点と攻撃的なチームへと変貌を遂げており、いかに失点を抑えられるかが勝負のカギを握る。
比江島も「守り合いになると思う」と話し、「チャレンジャーの気持ちで臨みたい」と意気込んだ。日本人トップクラスのスキルを持つ比江島には、ついついオフェンス面に目が行ってしまうもの。だが、次節のSR渋谷戦では指揮官も称賛するディフェンスにも注目したい。
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