高校最強チーム福岡第一、プロ撃破の野心を胸に挑む天皇杯「勝つために戦いたい」

2019/11/20
プレーヤー
9530

井手口孝

「高校生がどこまでやれるのか、チャレンジしたい」

第95回天皇杯は11月30日と12月1日に第2次ラウンドが行われる。Bリーグのチーム同士の対戦も多数ある中で、最も注目を集めるのが、和歌山会場で行われる千葉ジェッツvs福岡第一だ。福岡第一は、高校の部活チームとしてここまで勝ち上がった唯一のチーム。県予選では決勝で九州共立大を破り、予選の1次ラウンドでは鹿児島のクラブチーム、長崎の実業団チーム、そしてB3の鹿児島レブナイズを撃破した。

高校最強チームがBリーグでも屈指の強豪にどう挑むのか。福岡第一の井手口孝監督は、この対戦について「楽しみです」と笑みを見せる。

福岡第一にとって天皇杯でのBリーグ勢との対戦は4年連続となる。ここまで川崎ブレイブサンダース、広島ドラゴンフライズ、名古屋ダイヤモンドドルフィンズと対戦してきた。

「今年はもう偶然ではなく、ここまで勝とうとやってきました。選手も『先輩たちが2次ラウンドまで行っているのに自分たちが行けないのは悔しい』と頑張りました。僕らの速いバスケットは、大人でもやるのは大変だろうと思います。だから20分と1秒、僕らのペースでできれば勝つ可能性がある。40分は支配できませんが、そうやって勝とうと試合をやってきました」

井手口孝

「要するに高校生が一番練習している」という自信

そんな千葉との戦いに、「勝ちに行く」と井手口監督は断言する。「ウインターカップの準備も大事ですが、鹿児島に勝ったから千葉とやる機会を与えてもらったわけで、千葉に勝って、レバンガかビーコルにも勝ってファイナルラウンドに行きたい。目指すのは良いことですよ。本当は大学生がここに入ってくる今までの歴史があったわけですが、ほぼほぼBリーグのチームしか出られないような仕組みになってしまった。僕らは福岡県の代表じゃなく、高校生の代表、学生の代表です。万分の一の可能性かもしれませんが、勝つために戦いたいです」

ここまで勝ち上がってくるだけでも大仕事だが、その先へのチャレンジをスタンダードにしたいというのが井手口監督の考えだ。「サッカーの世界では15歳や16歳でプロデビューする選手がいて、久保建英くんに至っては日本代表でデビューしています。バスケでもリッキー・ルビオは16歳でデビューしました。でも、日本の高校ではなかなかそうはいかず、男子のプロは大学を卒業してからがほとんどです。そこも含めて高校生がどこまでやれるのか、チャレンジしたい」

『万分の一』の可能性であれ、勝つための道筋も見いだしている。「一番練習していないのはプロで、次が大学生ですよ。要するに高校生が一番練習している。僕らはその高校の代表ですから、40分間のうち3分ぐらいは戦えるかもしれない。その3分が5分となり10分となれば少しは試合になります。これを20分に近づけたくて、20分を超えれば勝てるわけです」

井手口孝

「ディフェンスの頑張りとトランジション」で勝負

普通に考えれば勝てる試合ではない。それでも福岡第一は他の大会と同じく、勝つためにできる限りの準備をして戦いに望む。ただでさえ過密なスケジュールに天皇杯が入り、学業も疎かにはできないため、チームマネジメントは非常に難しくなる。「負けていい試合はないし、1週間の中で身体作りの日、落とす日と上げる日、戦術戦略の日を考えていくしかありません」と井手口監督も難しさを語る。

ルールへのアジャストも簡単ではない。今の天皇杯は外国籍選手の起用法をBリーグのルールに合わせているため、「オールジャパンの頃は高校生としてはやりやすかったんですけど、今は違う土俵でやっている感じ」と難しさがある。

「去年はオン・ザ・コート2で行くか1で行くか迷ったんですが、ウインターカップ直前ということでオン1で戦いました。今年はオン2もやろうと思います。鹿児島と戦った時も選手のやりくりが難しい時にオン2をやりました。クベマジョセフ・スティーブとキエキエトピー・アリを2人出していいと思っているのは、日頃の留学生同士の対決では自分たちより大きく上手い選手とやる経験はなかなかできないから。それを公式戦で体感できるなんてことは普段はありません」

ただ、それらの難しさすべてを踏まえて、千葉ジェッツに挑戦できることを「楽しみです」と井手口監督は話す。「ディフェンスの頑張りとトランジションの速さ。そこはプロのチームに負けていないという試合ができればいいと思います」

11月30日のノーリツアリーナ和歌山でどんな試合が見られるのか。ファンの関心は河村勇輝と富樫勇樹の対決に向くだろう。カテゴリーを問わず参加できる天皇杯だからこそ実現する対戦は、非常に興味深いものになりそうだ。