ニック・ファジーカス

「4連勝は素晴らしいし、次は5連勝を目指すよ」

10月14日、川崎ブレイブサンダースは70-67で新潟アルビレックスBBに競り勝った。価値ある敵地での同一カード連勝で、開幕からの連勝を4に伸ばしている。

この試合、川崎は第3クォーター終了時点で2桁のリードを奪うも第4クォーターに入るとオフェンスが停滞し、新潟の激しい追い上げを受けた。その中でもニック・ファジーカスは、残り1分に9点差へと突き放す価値ある3ポイントシュートを含む18得点9リバウンド4アシストと、大黒柱としての役割を果たしている。

開幕節の宇都宮ブレックス、そして今回の新潟と昨シーズンのリーグ上位を相手しながらの4連勝スタートについて、ファジーカスは笑顔を見せる。

「リーグのトップチームの一つに戻ったと感じている。新潟とのこの2試合はタフだったけど、最後に勝つ方法を見つけられた。まだシーズンは始まったばかりで、A東京や千葉といった難敵とは対戦していないが、それでも4連勝は素晴らしいし、次は5連勝を目指すよ」

ニック・ファジーカス

昨シーズンのリベンジに燃えた「新潟は新潟だ」

昨シーズン終盤、川崎は新潟との争いで遅れを取り、ホームゲームで地区優勝を決められる悔しい思いをした。ただ、今オフに新潟は絶対的エースだったダバンテ・ガードナーが移籍し、チーム再編に迫られた。川崎も積極補強で大きく変わっていることから、昨シーズンの関係はリセットと考えてもおかしくない。

だが、ファジーカスの考えは違う。リベンジへの確固たる思いを持って新潟との連戦に臨んでいた。「お互いにメンバーには変化があるけど、僕は引き続き川崎の選手だし、新潟は新潟だ。リベンジを果たしたい思いはあった」

またこの試合、川崎はターンオーバーを21も記録するなどミスが目立った。これは改善すべきポイントだが、同時にここまでミスが多発しても勝ち切れたことを、ポシティブにも考えている。「ミスが多くても勝てた。このターンオーバーを10に減らせれば、シュートチャンスが10回は増える。ミスをなくせばもっとオフェンスが良くなり、相手にとってより脅威になると勇気付けられる勝利となった」

振り返れば昨シーズンの序盤、ファジーカスはオフに行った足の手術の影響で万全なコンディションでないまま出場した影響を抱えることになった。しかし、今は「昨シーズンに比べたらシュートの調子が良く、ストレスも少ないよ」と好感触を得ている。

その要因となっているのが、日本代表での激戦を経験したことだ。「ワールドカップを経験していることは大きい。ワールドカップでも得点を取ることについては、そんなに苦労しなかった。だからBリーグならもっと簡単に点を取れると自信を持ってプレーしている」。また、ワールドカップを戦い抜いたことで、例年になく身体が絞れた状態でプレーできている。

ニック・ファジーカス

新体制への移行で「雰囲気が変わった」

昨シーズンとの違いとして、ファジーカスと外国籍選手2名を同時起用する実質『オン3』のビッグラインアップにも自信を見せる。昨シーズンはスペーシングに問題を抱えていたが、今は「まだ互いに理解しないといけない部分もあるが、マティアス(カルファニ)もジョーダン(ヒース)も高いバスケIQの持ち主で、一緒にプレーしやすい。この起用はチームの強みだし、使い続けることでもっと良くなっていく」と大きな可能性を感じている。

ちなみにカルファニは、アルゼンチンのサンロレンソで日本代表フリオ・ラマスヘッドコーチの下でプレーしていた。「マティアスの加入を知った時、どんな選手か全く知らなかった」というファジーカスだが、すでに絶大な信頼を寄せている。

「代表活動が始まった当初、フリオ(ラマス)から彼は川崎の助けになる良い選手だと言われた。最初に会った時、ビッグマンとしては小さいと思ったけど、エナジーに溢れ、バスケットボールIQが高い。身体能力も高いし、まさにチームが求めていた人材だ」

また、日本人選手についても大塚裕土、熊谷尚也と新戦力のおかげでベンチの層が一気に厚くなったと満足気に語っている。今シーズンの川崎が推し進める変革をファジーカスは、こんな言葉で肯定する。「今のチームは雰囲気が変わり、ここ数年で確立できなかったアイデンティティを作ろうとしている。ケンジ(佐藤賢次ヘッドコーチ)はリーグで一番エナジーがあり、最も試合への準備ができているチームを目指している」

この変革のスピードをさらに速めるには、勝利という結果が必要だ。そのためには、新しい川崎においても絶対的エースであり続けるファジーカスの活躍が不可欠だ。