アキが攻守に奮闘し、今シーズン初勝利
横浜ビーコルセアーズはホーム開幕戦となった秋田ノーザンハピネッツ戦に75-60で勝利し、今シーズン初勝利を挙げた。
スコアに表れているように、相手を60点に抑え込んだディフェンスが呼び込んだ勝利だったが、この堅守の実現に大きく貢献したのがアキ・チェンバースだった。
オフザボールの動きが秀逸な古川孝敏を徹底マークしたアキは強靭なフィジカルでスクリーンをもろともせず、軽快な動きでボールを簡単に持たせなかった。古川にボールが渡らずオフェンスを再セットする必要があったため、秋田はショットクロックが少なくなった状況でタフショットを強いられる場面が多々見られた。
「今日は良くも悪くもなかったと思う。でも前半はもっとステップアップしなきゃダメでした。後半は役割を果たせたと思うし、チームとしても個人としても良かった」と、アキは試合を振り返る。
「良くも悪くはない」という言葉は、チームにとって心強い響きだ。数字に表れないディフェンス面での働きだけでなく、アキは10得点9リバウンド1スティールとスタッツ面でも結果を残している。
「ディフェンスもそうだし、ドライブでのフィニッシュや、ドライブから合わせてプレーメークをしたり。これをスタンダードにして、チームに貢献したいと思っているよ」
アキの強みはフィジカル色の強いディフェンスのイメージが先行するだろう。だが、秋田を指揮する前田顕蔵は「今日は橋本(尚明)選手、アキ選手、田渡(凌)選手とそれぞれペリメーターにも強みがある選手が非常に効いていた。アキ選手にペネトレートされたところでコミュニケーションミスや判断ミスがあって、守り切れなかった」と、アキのオフェンス面に手を焼いたことを敗因に挙げている。
「今まで以上に大きな役割をもらえた」
アキは今オフに千葉ジェッツから横浜へ移籍した。サンロッカーズ渋谷に在籍した初年度から3シーズン続けてチャンピオンシップに出場しているその経験を伝え、さらなる責任を負うために移籍を決断した。
「横浜に行くことは個人的にも素晴らしいチャレンジでした。横浜に来て、今まで以上に大きな役割をもらえたこともうれしいです。千葉や他のチームにいた経験をこのチームにシェアできるようにしていきたい」
昨シーズンの横浜はリーグワーストとなる平均84.2失点と守備に課題を抱えていた。まだ3試合を終えただけではあるが、今シーズンは平均72.3失点と大幅な改善が見られている。アキの存在がこの結果に大きく寄与していることは言うまでもない。
「去年の横浜は正直あまり噛み合っていないと感じたね」とアキは見ていた。だが、今シーズンは新加入選手とともによくコミュニケーションを取ることで、現在はチームの一体感を感じているという。
「キャプテンの田渡ともよく話すよ。自分の役割を果たすためにもコミュニケーションは大事。ここでは自分もベテランの部類に入るし、自分の経験を若い選手に共有したいと思っているんだ。自分だけじゃなく、新しく入ってきた選手皆がそういう気持ちになっている。個人個人が経験をシェアすれば去年よりも良いチームになると思うし、実際に今そうなっている」
アキがそうチームの充実を語ったように、横浜はホームのファンの前で今シーズン初勝利を挙げた。「ディフェンスで全力を尽くすのは当たり前です。その中でいろいろな役割をもらったので、ペネトレイトだったりシュートだったり、攻守両面で素晴らしいプレーを皆さんに見せたい」と、アキはファンに訴えた。
これまでチームを支えた功労者が去り、若手主体へと生まれ変わった横浜。ドアマットチームからの浮上を実現するには、アキの存在が欠かせない。