いよいよスタートする4年目のBリーグ。その開幕週は、ワールドカップを経験した選手たちがどんなプレーを見せるかなど見所が多い。それでも、最も注目を集める選手は石井講祐だ。脱サラして練習生待遇で千葉ジェッツに入団。地道な成長を続けて主力選手となった石井が、今オフに退団を決めたのは驚きだった。新天地に選んだサンロッカーズ渋谷で、開幕で迎える相手が古巣の千葉となる。彼にとって大きな節目となる試合を前に、意気込みを聞いた。
「意識しないようにと思っていても意識してしまう」
──新天地での開幕戦の相手が千葉と知った時の感想を教えてください。
縁を感じます。それはそれで面白い、楽しみだと思いました。アーリーカップで対戦した時はケガで出られませんでしたが、それも開幕までとっておこうみたいな感じでした(笑)。
意識しないようにと思っていても意識してしまうので、そこは受け入れて、チームで良い勝負をして勝ちたいです。個人として注目してもらえるのは、プロ選手としてありがたいこと。その期待であったり、周りの注目に対して、しっかり結果を出して応えたいです。
──千葉を倒すには、どこか鍵になると見ていますか?
千葉は強みのトランジションなど、1試合を通して彼らのスタイルを貫ける強さがあります。そこの我慢比べで負けてしまうと簡単なミスから速攻になって、イージーバスケットを決められて千葉の流れになる。そこを防ぐために、どれだけしつこくついて行けるかが大事になります。
──チーム同士の戦いですが、同じポジションの田口(成浩)選手、原(修太)選手とのマッチアップでは、絶対にやられたくない、といった意識はありますか。逆に、そういう感情は持つべきでないと思いますか。
良い意味で、そういった意識はしていいと思います。今まで練習でずっとやってきた相手ですし、勝つためのプレーを第一に、彼らとのやり合いを楽しむのは全然問題ないと思います。
「選手として人間として一段上に行けるチャンス」
──今シーズンのSR渋谷はどんなチームで、その中で自分の役割についてどのように考えていますか。千葉での役割からはどんな変化がありますか?
ディフェンスを主体に、激しくフィジカルなプレーをいかにできるか。それを40分間どれだけ継続できるか、メンタルも含めて、いかにタフに戦えるかだと思っています。若手が多く勢いに乗っている時は良いですが、そうではない時にどうやって守って、苦しい時間帯を乗り切りまた流れを持ってこられるか。そういう部分は僕自身もですし、チーム全体としてこれからさらに強くなっていくための課題でもあり、伸びしろだと思います。
自分の役割は、オフェンスの面ではシューターですけど、どちらかと言うとスコアラー的な要素も求められています。あとは副キャプテンということで、リーダーシップを取る。声掛けなど的確な状況判断をして試合全体の流れを良くすることも必要です。もちろん千葉でやってきた良いところは継続していきます。ただ、今までと違う、新しい自分を披露したい気持ちはより強くあります。
──SR渋谷で、Bリーグでの勝利を一番経験しているのが石井選手です。だからこそ、チームに勝者のマインドを伝えないといけない。そういう面は意識しますか。
それを強く意識する感じではないですが、それでも「こうしたらもっと良くなる」と感じたところは積極的に伝えていきたいです。ただ、自分は常にこうしろ、ああしろと声をかけるのは余り好きではありません。若手が伸び伸びできる、ミスをしても早く切り替えができるようにコミュニケーションを取っていく。あとは状況に応じて、チーム全体がまとまるような声が出せればいいと思っています。
また、リーダーシップを発揮することは自分が成長できる部分で、やりがいに繋がっています。自分の感じたことや思いをしっかり言葉にして、人に伝えられることができればプレーヤーとして、人間としてまた一段上に行けるチャンスだと思うので、そこは日々模索しています。
「ここぞの場面で貪欲に、点を狙いに行く」
──分かるのはこの先かもしれませんが、新しいチームに移ったことで最も感じる変化はどういうところになりますか。
やっぱり責任の部分は変わってきます。千葉だと富樫(勇樹)が勝負どころでシュートを打つことが多かったのですが、SR渋谷だともうちょっと自分の責任だったり、そういう役割は増してくる。良い意味で、ここぞの場面で貪欲に、ガムシャラにやって点を狙いに行く姿勢を出していきたいです。
──あらためて新しいチームでの開幕戦をどういう位置づけで臨みますか。
開幕戦でどれだけ自分たちのスタイルであり、メッセージを他のチームに残せるかで、その先のシーズンの行方も変わってくる。本当に1試合目の出だしから自分たちが準備してきたことを、激しく出すことが大事だと思います。
──開幕戦の後、どんな結果になろうとも試合後、石井選手の下にはコメントを求めるメディアが多く来ると思います。そのことについて想像したりしますか。
今はそんなに意識していないですが、勝ってそのインタビューに答える光景は浮かんでいます。
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