指揮官は退任へ「励ましのメッセージに感謝」
ヨーロッパの強豪リトアニアは、ワールドカップ2次リーグ最終戦となったドミニカ戦に74-55で勝利し、大会を終えた。
リトアニアはその2日前のフランス戦を、試合終盤の大誤審により落としていた。審判団はミスを認め、FIBAは彼らに今大会の残り試合を担当させないことを決めたが、試合結果は変わらない。グループLを3位で終えたリトアニアは決勝トーナメントに進めず、さらには東京オリンピック出場権も得られなかった。当然、簡単に受け入れられる結果ではない。
物議を醸したプレーは、フランス戦の第4クォーター残り30秒に起こった。リトアニアが74-76でフランスを追う場面で、ヨナス・ヴァランチュナスが2本のフリースローを獲得。1本目を成功させ、2本目を投じた後、ボールがまだリングと接触している間にフランスのルディ・ゴベアがリムに触れたものの、審判はバスケット・インターフェアと判定しなかった。
結果的にフランスに75-78で敗れたリトアニアのヘッドコーチ、ダイニュス・アドマイティスは試合後の会見でジャッジを非難。「とんでもないジョークだ。私たちは誤審をするなと言いたいのではなく、正直であってもらいたい」と、語気を荒げた。
唇を震わせ、テーブルを叩いて猛抗議したのは、うかばれない選手たちの気持ちを代弁したかったからだ。「選手たちはこの2カ月、家族と離れて代表のために尽くしてきた。一銭も受け取らずにだ。この行為には最大限の敬意を払ってもらいたい。しかしながら、中にはこの競技に対する敬意を欠いている人間がいる。これは馬鹿げた茶番だ!」
アドマイティス自身も代償を払うことになった。今大会を最後にヘッドコーチを退任するのだ。ドミニカ戦を終えた会見で彼はこう語った。「選手たちはバスケットボールへのリスペクトを示した。ファンの皆さんに感謝したい。私たちに励ましのメッセージを送ってくれたすべての人に感謝したい。とてもありがたかった」
ドミニカ戦で19得点10リバウンドを記録したヴァランチュナスは、思わぬ結末となってしまった大会をこう振り返っている。
「良い形の勝利で大会を締めくくったが、僕たちはもっと先に勝ち進むつもりだった。起こってしまったことは仕方がない。目の前にあること、手元に残ったものは何なのかを考えないといけない。これからチームは変わる。誰が次のヘッドコーチになるかも分かっていない。それでもオリンピック予選に気持ちを切り替えて、準備を進めないといけない」