「しんどい時間帯や僅差の展開で、周りの士気を上げるような声を出す」
本日から『FIBA女子ワールドカップ2026』が開幕し、日本は大会オープニングゲームでマリ代表と対戦する。
日本は大会直前にメダル候補のベルギーと強化試合を2度行い、ともに敗れたが最後までもつれる接戦だった。コーリー・ゲインズヘッドコーチは、このように試合を総括する。「この2試合に臨むにあたっていくつかの目標を設定し、それを達成できたと思います。これまでの強みを損なうことなく、よりスピードアップする方法を模索していました。いくつかのアジャストによって、それがうまく行ったと思います」
「(オーバータイムで負けた)2試合目は勝てた可能性もありました。4点リードしていた時間帯でレイアップを4本くらい外し、2回のターンオーバーがありました。ここでしっかりと決めていればおそらくリードを2桁に広げることができました。残念でしたが大丈夫です。この経験から学ぶことができました」
あと一歩で勝利を逃した2試合目で田中こころは17得点をマーク。ワールドカップで得点源としての活躍を求められる若きスコアラーは、ベルギー戦の収穫について「(日本のやりたいペースができれば)相手は本当に40分間走り切れないと体感しました。もっとペースを上げられるところもあったので、どんな相手にでも走り続けたいです」と振り返る。
WNBAのエーシズに所属する山本麻衣とのツーガードは日本の得点源となるが、相手も当然のように徹底マークをしてくる。その中で、いかにオフェンスを牽引していくか、田中はこう考えている。「3ポイントは特に警戒されている部分だと思います。これをしっかり利用して自分たちがアタックすれば、周りの選手が空いてきます。どんな時でも積極的に攻めていきたいです」
ゲインズ体制になってからの田中はここまで着実に成長を遂げてきた。今や押しも押されもせぬ日本代表の顔の1人となった20歳は、非凡なオフェンス能力に加え、「上手く行っていない、しんどい時間帯や僅差の展開で、周りの士気を上げるような声を出す。ここは少しは成長した部分と思っています」と、リーダーシップの面でもチームに貢献したいと意気込む。
田中は今年のWNBAドラフトでヴァルキリーズから指名を受けた。今夏の入団は見送ったが、WNBAにおける保有権は引き続きヴァルキリーズが有している。チームの指揮官ナタリー・ナカセは、アメリカ代表のアシスタントコーチとして参加しており、田中のプレーを実際に見る機会もあるだろう。そのため、田中にとっては自身の評価を高める絶好の舞台だ。
ただ、今の田中に自身をアピールしようとする思いはなく「日本のバスケの強さを証明することが大事です。個人よりも、チームとしてしっかり勝ち上がっていくところを見せたいと思います」と、日本を上位に導くことで自身の存在価値を高める考えだ。
東京オリンピックの銀メダルで世界に大きな衝撃を与えて以降、日本は大舞台で好成績を残せていない。この背景も踏まえ、ゲインズヘッドコーチは「再び世界にサプライズを起こす。これこそ私たちが、このワールドカップでやろうとしていることです」と語る。そのためには田中の活躍が欠かせない。
