法廷闘争も辞さず、サラリーキャップ回避に徹底抗戦
現地9月2日、NBAはクリッパーズによるサラリーキャップ回避行為に対する調査結果と処分を発表した。クリッパーズはドラフト1巡目指名権を2029年から2033年まで5年連続で剥奪され、罰金3000万ドル(約45億円)を科された上、今後5年間にわたりリーグ事務局による監視下に置かれる。カワイ・レナード本人にも70万ドル(約1億円)の支払いが命じられた。
第三者である法律事務所が1年近くを費やして調査した結果、クリッパーズが『アスピレーション』を始めとする4社に持ち掛け、各社がカワイとスポンサー契約を結ぶ形で、サラリーキャップの範囲外でカワイに報酬を与えていたことが明らかになった。また、クリッパーズはカワイとその家族の個人的な経費も肩代わりし、カワイの叔父による不適切な働き掛けをリーグに報告することも怠っていた。
オーナーのスティーブ・バルマーは、これらの不正な取引を承認したことで『意図的に加担した』と判断され、リーグとチームの全活動から1年間締め出される。ビジネス部門のトップであるジリアン・ズッカーは、調査への虚偽説明があったとして1年間の無給停職、バスケ部門のトップであるローレンス・フランクも半年間の無給停職を科された。カワイの叔父はすべてのNBAチームとの取り引きを5年間禁じられる。
NBAコミッショナーのアダム・シルバーは「サラリーキャップはチームと選手、最終的にはファンにまで利益をもたらすための基本的な制度であり、この不正を行ったクリッパーズに深く失望している。ペナルティの厳しさは、違反の深刻さを反映したものだ」とのコメントを発表している。
調査が長期化した背景には、処分の対象となるバルマーが純資産18兆円を持つ全米屈指の大富豪であり、中途半端な証拠しかないまま厳罰を科せば法廷闘争が泥沼化する恐れがあった。そのため、調査が長引く過程で「リーグはバルマーの資金力を恐れ、軽い処分で済ますのではないか」との見方があった。ただ、罰金がどれだけ高額でもバルマーには痛くもかゆくもなく、サラリーキャップ制度自体が形骸化してしまう。今回こうして厳罰が下されたことは、法廷闘争となっても反論を封じられるだけの証拠固めができたということだろう。
今回の調査プロセスと処分内容については、NBA選手会との間で「最終的かつ全当事者を拘束するもの」として合意済みだ。労使双方の合意を経た手続きであることは、処分の公正さを担保する重要な要素と言える。
それでも、今回の裁定が発表されるとクリッパーズはすぐさま「断固として認めない」との強硬な声明を発表した。「これは偏った調査の結果であり、事実や証拠ではなく既定路線の結論を正当化しようとしている。我々に何の通告もなく処分が発表されることは、スポーツの公正さと誠実さの原則に反している。あらゆる手段を尽くして今回の認定と処分に異議を申し立てる」
クリッパーズにとっての打撃は短期、長期の両方に及ぶ。まずはバスケ部門とビジネス部門のトップ抜きという異常事態で、この難局に立ち向かわなければならないこと。さらに来年の1巡目指名権はサンダーに交換権を与えているため、タンキングをしてもドラフトで得られるメリットがない。勝ちにいかなければいけないシーズンを迎えるだけに、チームの動揺は決して小さくないはずだ。カワイ個人のペナルティは軽微なもので、凍結されていたラプターズへのトレードは予定通り行われるだろう。『カワイ以後』のクリッパーズは、コート上でも法廷でも苦しい戦いを強いられることになりそうだ。
50 days away from our season opener! ⏳ pic.twitter.com/ZeWkbDghJ9
— LA Clippers (@LAClippers) September 2, 2026
