
チーム戦術の中で個人能力を生かすブムチェ・ブムチェ
イスタンブール(トルコ)で開催された『FIBA U17ワールドカップ』はアメリカの優勝で幕を閉じました。身体能力やスキルの個人能力の差が強く出るU17において、アメリカは無敵を誇っていますが、今大会のチームはプレー精度や戦術遂行力の高さも目立ちました。特にMVPに選ばれたジョアキン・ブムチェ・ブムチェとベスト5に選ばれたベッカム・ブラックは、17歳とは思えない完成度の高さを見せ付けました。
NBAプレーヤーを父に持つブムチェ・ブムチェは、211cmの身長に加えて腕が長く、スタンディングリーチは284cmもあり、日本代表との試合では7ブロックを記録しました。このサイズがあるにもかかわらずウイングでプレーし、サイズとフィジカルで押し切るドライブを仕掛けることもあれば、華麗にパスを繋ぐコンビプレーでの崩しも織り交ぜてきます。
さらに今大会を通して3ポイントシュートを53%と超高確率で決めてきました。しかも確率が高いだけでなく、ディフェンスの立ち位置を見てスペースへとパスを引き出す巧みなオフボールムーブも持ち合わせています。
ボールを持つ前にフィニッシュにいける形を整えることで、シンプルながら高精度のプレーが目立ちました。アメリカ人ですがバルセロナでプレーしており、チーム戦術の中で自分の能力を使う手段をすでに身に着けている驚異の17歳です。

ベッカム・ブラックが見せたU17らしからぬ『洗練』
今大会のアメリカはブムチェ・ブムチェに限らず3ポイントシュート成功率が高く、他チームを圧倒しました。その要因にポイントガードのブラックの働きがありました。コートビジョンと判断の質の高さから次々とフリーのシュートチャンスを生み出し、20.6分のプレータイムで8.3アシストを記録。しかも、ターンオーバーはわずか1.3という、信じられない精度でオフェンスを構築していきました。
ブラックは個人突破からオフェンスを構築するのではなく、チームメートの動きに合わせてパスを出していくタイプですが、『プレーを読む』能力が突出しており、常に相手の逆を取るプレーを選択します。この能力はディフェンス面でも発揮され、コースに先回りしてドライブの一歩目を止めることもあれば、相手のモーションからパスコースを読んでボールを奪い取ることもあり、3.0スティールを記録しました。身体能力やスキルよりも、判断能力やコートビジョンが際立つ17歳の今後の成長を考えると、末恐ろしいものがあります。
アメリカが強いのは過去から何も変わっていませんが、今大会は個人としてもチームとしても完成度の高さが突出していました。あまりにも簡単にチャンスを作り、それを高精度で決めていくので、アンダーカテゴリーの試合を見ている気がしなかったほどです。他にもセルビアのニコラ・クストゥリツァ、トルコのオメル・クトゥルアイ、フランスのネイサン・ソリマンなど完成度の高い選手が目白押しでした。
バスケ自体が高度に進化してきた中で、個人の突破力よりもチーム戦術の重要性が高まり、その中で多彩かつ精度の高いプレーが求められる。U17カテゴリーであっても戦術とバスケIQが『未熟』では世界レベルでは通用しない。そんなトレンドを強く感じる今大会でした。