スティーブ・ナッシュ

アメリカだけの問題ではなくなりつつある傾向に

今月末から中国で開催されるFIBAワールドカップは、2020年の東京五輪出場権を争う戦いでもある。

しかし、大会2連覇中の優勝候補アメリカは、アンソニー・デイビス、ジェームズ・ハーデンらスーパースターたちが軒並み出場を辞退した。ただ、スター選手が出場を辞退したのはアメリカだけではない。

アメリカと地続きの隣国カナダでも、アンドリュー・ウィギンズ(ティンバーウルブズ)、ジャマール・マレー(ナゲッツ)、RJ・バレット(ニックス)、トリスタン・トンプソン(キャバリアーズ)、ドワイト・パウエル(マーベリックス)、シェイ・ギルジャス・アレクサンダー(サンダー)、ニッケル・アレキサンダー・ウォーカー(ペリカンズ)も出場を辞退した。

この状況について、現役時代にサンズ、マブス、レイカーズで活躍し、引退後にはカナダ男子代表のGMも務めたスティーブ・ナッシュは、「時代が変わった」と『Chat News Today』に語った。

現役時代に代表を背負い、カナダが最後に出場した2000年のシドニーオリンピックにも出場し、チームを準々決勝に導いたナッシュは、現代の選手が代表を重視しない傾向を残念がったが、時代の変化に理解を示してもいる。

「残念だけれど、時代が変わったということを理解しないといけない。私が現役の頃は、選手にとってのオプションは少なかった。それだけに、代表でのプレーが意味するものは大きかったんだ」

「バスケットボールのビジネスは、とても大きなものになった。選手たちが得ている報酬額も、球団の価値も跳ね上がった。選手たちが手にしている機会も、昔と比べて単純な話ではなくなっている。時代は変わったと思うね。それは、アメリカ代表のケースを見ても分かる」

「つまり、これはグローバルな問題になっている。(代表は)以前と比べて重みがなくなってきている。これはチャレンジでもあって、私が代表チームに戻った理由の一つでもあった。選手たちが再び代表でプレーしたいと思えるように、代表のプログラムを高めようとした」

「ここ8年か9年で、(カナダ出身の)NBA選手も増えた。今年はワールドカップが開催される年なので、今回のような事態になって残念。それでも、代表でプレーする選手も多い。今年のようなことが当たり前になるのではなく、あらゆる理由から出場を辞退した選手が多かった稀な年であると思いたいね」

ウィギンズらは辞退したが、ケリー・オリニク(ヒート)、コリー・ジョセフ(キングス)らはカナダ代表候補に選出されている。NBAで実績のある選手の代表辞退は、アメリカだけの問題ではなくなりつつある。