ケイド・カニングハム

リバウンドとフリースロー、『細部』の差で接戦を制す

第8シードのマジックに3勝1敗と王手を掛けられたピストンズが、ホームでの第5戦を116-109で制した。

フランツ・バグナーが右足ふくらはぎの肉離れで戦線離脱となったマジックに対し、これまでスロースタートだったピストンズが第1クォーターを38-26と圧倒して先手を取る。それでもマジックはパオロ・バンケロがバグナーの分までアグレッシブに攻めることで反撃。前半を6点ビハインドで終えると、その後も何度も点差を詰めていく。バンケロは41分の出場で45得点9リバウンド7アシストと素晴らしい活躍を見せた。

しかし、ケイド・カニングハムも『エース対決』で一歩も引かず、45得点4リバウンド5アシストを記録。プレーメークと得点の両方を担うだけでなく、バンケロのマークまで担当した。肺に穴が開く気胸から回復したばかりでコンディションは万全でないはずだが、負けたら終わりの崖っぷちで死力を尽くした。

「崖っぷちに立たされて、『絶対に屈しない』と気持ちが入った」とカニングハムは言う。「今シーズンを通して僕たちは多くの逆境を乗り越えてきた。追い詰められた時こそ僕らは強い。自分たちで掘ってしまった大きな穴から這い上がるのは大変だけど、だからこそ『絶対に屈しない』のメンタリティで戦い続ける」

これまでの4試合、カニングハムもマジックの厳しいマークに苦しんだが、その逆境をここで乗り越えた。「これまでのような硬さがなくなり、より激しく動き回った。追い込まれた状況だったけど、最大限に集中し、なおかつ考えすぎることなくプレーできた」

レギュラーシーズンに比べて精彩を欠いていたジェイレン・デューレンも12得点9リバウンドとペイントエリアでの存在感を取り戻した。トバイアス・ハリスが23得点、ダンカン・ロビンソンも12得点を挙げてカニングハムが作り出したチャンスをモノにしている。アサー・トンプソンは15リバウンド5スティール2ブロックとディフェンスで強烈な存在感を見せた。ベンチメンバーの4人もそれぞれ与えられた役割を全うしている。

クラッチタイムにカニングハムがバンケロとの1対1でフィジカルで押し切られた時には、デューレンが背後から飛び込んでシュートを叩き落とした。指揮官J.B.ビッカースタッフは攻めのデザインよりカニングハムに一息つかせるためにタイムアウトを使った。ピストンズの誰もが、カニングハムの負荷が高すぎるのを理解しながらも彼に頼り、支えた。そしてカニングハムはその期待に応えた。

3点リードで迎えた残り30秒、デズモンド・ベインをステップバックでかわしたカニングハムは、バンケロの寄せより先にミドルジャンパーを放つ。勝利を決定付けるシュートが決まった瞬間の気持ちを、カニングハムは「大舞台で愛するバスケができていることを神に感謝した」と振り返る。

「ピストンズらしいバスケを見せたかった。今日はそれが少しはできたと思うけど、まだ映像を見て改善できるところはたくさんある。ターンオーバーも相変わらず多すぎるからね。明日また学び、もっと良いチームになって第6戦を迎えたい」

バンケロはカニングハムと同じ45得点を挙げたものの、勝ってシリーズ突破とはいかなかった。マジックの誰もが「細部の詰めが甘かった」と課題を語る。それは33-49と大差を付けられたリバウンドであり、30本中16本しか決められなかったフリースローだ。

「フリースローは確実に決めようと思っていたのに、7本も外してしまった(12本中5本成功)。それは自分の責任だ。リバウンドも相手が激しく来るのは分かっていたから、もっと戦わなければいけなかった。フリースローを14本外して7点差で負けた、それがすべてだ」とバンケロは言う。

「落ち込む必要はないけど、どこが悪かったかを理解して改善していく。次は僕たちのホームだ。相手も必死だろうけど、僕たちも必死だ。激しい戦いになるのは間違いないから、覚悟して臨むよ」