
異なるプランを用いてもバランスを取れる柔軟な戦術
プレーイン・トーナメントを勝ち進み、サンダーとのファーストラウンドに臨んだサンズでしたが、付け入る隙を与えないディフェンディングチャンピオン、サンダーにスウィープでの敗退となりました。ただ、4試合それぞれで異なるゲームプランを用いており、アジャストが繰り返されるプレーオフらしい戦いは見事でした。
第1戦はサンダーの強烈なプレッシャーディフェンスにより次々とターンオーバーを繰り返しての敗戦でした。ヘッドコーチのジョーダン・オットが「ボールをキープすることすら難しい」とコメントを残したほどですが、そこからポイントガードのコリン・ギレスピーのプレータイムを増やすことでボールキープを安定させる修正を施しました。ギレスピーは4試合でわずか4つのターンオーバーでオフェンスを安定させ、期待に応えています。
また、サンダーのスターターがツインタワーであることを逆手に取るように、チェット・ホルムグレンを狙ったスピードのミスマッチでオフェンスを構築しました。1on1で狙う形もあれば、ホルムグレンがカバーリングを優先することでオープンになるコーナーへ展開する形など、複数のプレーパターンで攻略しました。
プレーオフでは相手の弱点を狙うことはセオリーですが、その多くはスクリーンを使ってスイッチを促す形です。しかし、サンズはギレスピーをスターターに並べることでポジションを1つずつズラしていき、通常のマッチアップでディロン・ブルックスがホルムグレンを狙えるようにしてきました。自分たちはラインナップ変更してもバランスを崩さず、それでいてサンダーの弱点を引きずり出したのです。
ディフェンス面でもシェイ・ギルジャス・アレクサンダーへの対応を次々に変更し、止めるための手段を尽くしました。第1戦ではハードマークでシュートミスを誘っていったもののファウルドローされてしまったため、第2戦からはシュートに対してノーファウルを選び、第4戦ではフェイスガードとスイッチ対応でボールを持たせないことを重視しました。
異なるプランを用いてもバランスを取れる柔軟な戦術は、多くのチームがやりたくてもできないものです。それがサンズで可能だったのは、シーズンを通して着実に身に着けたチーム力でもあります。しかし、スウィープはスウィープであり、特に第3戦にはシェイが信じられない確率でシュートを決め、第4戦では3ポイントシュートをチームで50%も成功させてアンサーしたサンダーは1枚も2枚も上手でした。
素晴らしい戦いぶりだったからこそ、サンダーとの大きな差を見せつけられたのも事実で、この差をどうやって埋めていくかが、オフの課題となります。