『ストッパー』を外し、ジャカルタSTOPでMVPを受賞
Wリーグのシーズンを終え、3×3の本格的な季節がやってきた。富士通レッドウェーブに在籍する宮下希保は『FIBA 3x3ウィメンズシリーズ2026』の成都STOP、マニラSTOPに出場する4名のロスターに名を連ねた。
3x3ウィメンズシリーズは3人制バスケットボール女子の世界最高峰プロツアーで9月5日、6日には上位8チームが出場できるファイナルが中国で開催される。9月までの長丁場であり、世界各地を転戦する過酷な戦いのため、宮下は「体調管理が一番だと思っています」と語る。
「タフということは聞いていますし、体調とケガのところは個人でやっていかないと3人で試合をすることになってしまうので。バスケットの面ではキツい時にチームでどれだけ目を合わせてやっていけるかは大事だと思っています。コーチがいない中、選手同士でやらなきゃいけないので、キツい時にそれぞれの方向を向いていたら勝てる相手にも勝てないと思います。どれだけキツくても仲間の目を見てプレーし続けたいです」
昨年のジャカルタSTOPで日本は優勝を果たし、攻守に奮闘した宮下は大会MVPに輝いた。5人制を主戦場としているため、それまでは迷いもあったが、その大会では『ストッパー』を外したという。
「あの大会の前まではちょっとセーブしていた部分があったんです。『ここで行けるのに行かない』とか、『ここで行ったら流れが悪くなるかな』とか、そういうふうに思いながら3×3をやっていました。それをそのジャカルタでやめようと思って、行けるなら行くことを意識しながらやり続けた結果でした。自分の中でも気づきのあった、良い大会だったなって思います」
5人制での代表経験に加え、パリオリンピック予選(UOQT)などの大舞台も経験してきた宮下だが、彼女の向上心に終わりはない。今回の強化合宿でも、スキルコーチの指導を仰ぎ、「めちゃくちゃ気づきがあって、5人制の時に『もっと早く知っておけばよかった』と思うことばかりです」と目を輝かせた。
特に現在挑戦しているのはハンドラーの役割だ。「5人制の時はセンターなのでスクリーナーが多いんですけど、3人制だったらハンドラーをやらなきゃいけない状況もあります。教えてもらった時に『ガードの人はこう考えてたのか』とか、『こんなに面白いんだ』っていう気づきもありました」

「瑠唯さんの気持ちは分からないですね」
自身が言うように、普段はハンドラーから使われる側の立場だが、その経験があるからこそ見えてくる景色もある。しかし、頭では分かっていても身体が反応せず、初体験のハンドラーに四苦八苦しているという。「相手を見て、スクリーンをかけてダイブしたりポップしたりしますが、その時は『こうしてほしい』と思ったりしていたところも、ハンドラーになると見えなくなるというか、難しいですね」
富士通には女子日本代表の町田瑠唯がいる。最高のお手本が身近にいるが「ポジションが違うのもそうですけど、(町田は)すごすぎるので目指そうとは思っていないです。瑠唯さんは4人どころか9人ぐらい見えているので本当にすごい。(ハンドラーの)瑠唯さんの気持ちは分からないですね」と笑顔を見せた。
宮下はハンドラーとしての役割に新鮮な驚きを感じながら取り組んでいるが、それは前田有香ヘッドコーチが求める役割とも合致している。「前田コーチもハンドラーについて言ってくれていて、やってほしいこととやりたいことは合っています。まだまだハンドラーができると言える立場じゃないですけど、多分ビッグマンがつくと思うので、そこでズレを作っていきたいです」
自らの殻を破った宮下は、新たにハンドラーという武器を携えた。時間はかかるかもしれないが、彼女のハンドラーとしての伸びしろはそのまま日本の総合力へと繋がる。ウィメンズシリーズで、その進化した姿が見られるのが待ち遠しい。
