
「その先ではなく『あと一つ』に集中して仕留める」
敵地で2敗を喫したロケッツは、ホームに戻っての第3戦で必勝を期した。ケビン・デュラントが足首のケガで不在となったが、再建から抜け出した時のような積極性とガッツでレイカーズに食らい付き、残り1分を切ってから相手のターンオーバーを連続で誘い、アルペラン・シェングンが得点を決める。残り40秒で101-95と、レイカーズを追い詰めた。
しかし、この勝負どころでロケッツ指揮官のイメイ・ユドカが「恐ろしいミスだ」と振り返るミスの連鎖が起きた。「若さなのか経験不足か、あの状況に委縮してしまった。残り30秒程度で6点リードしていたら、リバウンドを取ってボールを保持し、ファウルを受けるだけでいい。それなのに、1対4の状況でボールを投げ捨て、(マーカス)スマートに3本のフリースローを与えた。次のプレーでもダブルチームに対してパスを出さず突破しようとしてボールを失い、レブロン(ジェームズ)にやられた。最後のプレーも指示通りに遂行できなかった。すべてが最悪だった」
ロケッツが若さから自滅したことで生まれたチャンスを、確実にモノにしたレイカーズの老獪さも光った。残り30秒、相手が自陣で出した不用意なパスをスマートがカットし、ジェイショーン・テイトのファウルを誘ってフリースロー3本すべてを成功させる。続くポゼッションでもレブロンと八村塁がプレッシャーを掛けてパスミスを誘い、相手が戻りきらないうちにレブロンが3ポイントシュートを沈めた。こうして土壇場でレイカーズが追い付き、オーバータイムを11-7で上回って112-108の勝利を収めた。
レブロンは45分プレーして29得点13リバウンド6アシストを記録。ルカ・ドンチッチとオースティン・リーブスを欠いて臨むプレーオフに「僕の『果汁』を最後の一滴まで絞り出す」と気合いを入れ、その言葉通りのパフォーマンスを見せている。試合を通じてフル回転とはいかないが、アクセルを踏み込むべき時と緩める時を見極めるバスケIQを発揮し、レイカーズを3連勝へと導いた。八村が22得点、スマートが21得点でレブロンに続いている。
LEBRON JAMES TIES THE GAME AT 101 🤯
13.1 SECONDS TO GO ON PRIME. pic.twitter.com/V5LqcXlt7I
— NBA (@NBA) April 25, 2026
かつてセルティックスのポイントガードとしてプレーオフの常連だったスマートは、3年ぶりにプレーオフに帰って来た。グリズリーズとウィザーズで過ごした2シーズンは勝利と無縁だったし、彼自身も厄介なケガを抱えて満足にプレーできず。しかし、32歳になった彼はレイカーズで見事に再生した。プレーメークは担当せず、フォワードとしてフィジカルなディフェンスを担うスタイルは、ドンチッチとリーブスの不在で、そしてプレー強度の上がるプレーオフの舞台で強烈なインパクトを放っている。
「子供の頃、ソファーに座ってプレーオフを見ながら、こういう試合でプレーする姿を夢見たものだ。だから何年かプレーオフから遠ざかったのは最悪だった。再びこの場所に戻ることができて最高だ」とスマートは言う。
残り30秒の場面を彼は、「何かを起こす必要があった」と振り返る。「僕が牽制を入れたことでジャバリ(スミスJr.)はドリブルを止めて、パスを出さなければいけなくなり、そうして出したロブを僕が奪い取った。ショットクロックを確認した時にテイトが突っ込んで来るのが見えて『これは止まれないぞ』と思ったからすぐにシュート体勢に入った」
「そこに彼が突っ込んだのは狙い通り。12年目のベテランとしての経験、先人たちから教わった『トリック』が役に立ったよ」と彼は胸を張る。
これで3連勝、ファーストラウンド突破に王手をかけた。「このチームに加入してからずっと『すべてをコートに置いてこい』と声を掛けてきた。バスケでは何が起こるか分からないからこそ、すべてを出し尽くさなければならない。僕らはベストプレーヤー2人を欠く状況だから必死だし、だから勝てているとも言える。そのおかげでケミストリーが生まれ、チームの自信も高まっているのはすごく良いことだ」
ロケッツはあと一歩のところまで相手を追い込みながら自滅した。シチュエーションは異なるが、レイカーズも3連勝でロケッツを追い込んだ状況で、スマートは「まだ終わっていない。もう一つある」と、チームメートの気持ちを引き締めた。
「次もこの場所での試合になる。自分たちのホームで恥をかかされたい者はいない。その先のことに意識を向けるのではなく、『あと一つ』に集中して仕留めるんだ。相手の首に足を乗せている状況で、決してその足を離してはいけない」