
ディロン・ブルックス「これはプレーオフなんだ」
現地4月22日、サンダーはサンズを120-107で破った。前年王者は『サンダーらしい』戦い方でファーストラウンド最初の2試合を連勝したが、その『サンダーらしさ』の一部が論争を呼んでいる。
試合後のロッカールームで、デビン・ブッカーは激怒していた。「僕はこの11年間で審判を名指しで批判したことはないけど、今日のジェームズ・ウィリアムズは本当にひどい審判だった。このスポーツの公正さを汚している。彼が責任を問われないようなら、人々はNBAをWWEのようなものだと見なすようになる」
プロレスに失礼な話なのはさておき──彼はそれほど腹を立てていた。問題のシーンはルーズボールを追った彼が客席に飛び込みながら、ボールだけは残そうとコート内にはたき、それがジェイリン・ウィリアムズに当たった場面だ。このプレーが相手選手に故意にボールをぶつけたとして、ブッカーにはテクニカルファウルが宣告された。
決して故意ではないし、悪質でもない。ブッカーは最初、自分がテクニカルの対象だと気付かなかった。「カルーソがテクニカルを要求し、審判はそれに従ったんだ」とブッカーは言う。
カルーソに対してオフェンスファウルを取られた判定にも彼は納得していない。「審判からは、僕のプレーが不自然なシュートモーションでカルーソに当たったと説明された。でも前に出てきていたのはカルーソだ。映像を見返したけど全く理解できない」
「ファウルをもらうために不自然な動きをする選手と僕の動画を並べて見てほしい。判断は皆さんに任せるけど、これがプレーオフで行われていることに呆れるしかない。こんな状況でプレーするのは難しい。僕は優勝経験こそないけど、このリーグで11年ブレーしている。その僕があんな扱いを受けるとは、リスペクトされていないと感じるよ」
ディロン・ブルックスは判定について質問したがる記者たちに「僕じゃなく審判のところに聞きに行け」と言った。「審判が感情的になって、片方のチームのためだけに笛を吹いている。選手が自分たちのプレーを説明するように、審判もメディアに話すべきだ」
議論の相手が同じカナダ代表で友人のシェイ・ギルジャス・アレクサンダーでも「コートに立てば、誰が相手でも関係ない」とブルックスは容赦ない。「あいつは貧弱で、転ぶたびに審判が笛を吹く。自分がもっと賢くやらなきゃいけないのは分かっているが、これはプレーオフであり、男の勝負なんだ。フロッピングはレギュラーシーズンだけにしておけよ。後で映像を確認して、ファウルだったかそうじゃなかったか話すのが面白いか? 子供の頃、マイケル・ジョーダンや若い頃のレブロン・ジェームズを見てあこがれたのは、もっとフィジカルなバスケだった。ロースコアでバチバチの削り合い。大袈裟に転ぶようなヤツに居場所はなかった」
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— Phoenix Suns (@Suns) April 23, 2026
サンダーが『その種類のプレー』が巧みなのは間違いない。シェイがフリースローを多投するのは偶然ではなく、ファウルを誘う技術が優れているからだ。俊敏なだけでなくボディバランスが抜群で、ディフェンスがフェイクに引っかかって手を出すと、そこに身体を引っ掛けてファウルを引き出す。シェイに限らず、この試合でのカルーソはブッカーのオフェンスファウルを引き出した。第1クォーターにはチェット・ホルムグレンがオソ・イガダロから個人2つ目のファウルを誘い、イガダロはファウルトラブルでベンチに下がらざるを得なくなり、サンダーの高さの強みが際立つことになった。つまり、シェイだけではないのだ。
もっとも、サンダーがそれだけで勝っているわけではない。シェイも同様で、この試合ではフリースローを9本しか得ていないが、試合中に指を痛めながらもブルックスとの気合いの入ったマッチアップを制して37得点を挙げている。
ブルックスの批判を聞いても「いつもあんな感じだから」と答えるシェイには余裕があった。「彼が何と言おうと僕には関係ない。僕にできるのは、コートに出てチームが勝つためにプレーするだけ。ディロンが自分の役割を全うしているように、僕もそうしている」
フロッピングに代表される『審判を味方に付けるプレー』の是非は今後も問われるだろう。それがスキルとボディバランス、高いバスケIQを必要とするスキルではあっても、ブルックスが言うように「そんなバスケが面白いか?」という命題は付いて回るだろう。
サンダーの面々は、そんな批判を受けながして自分たちらしく戦い続ける。ただ、サンズにとってもこの論争は必要だった。審判を味方に付けるのは、コート上のスキルだけではない。この論争を煽ることで、第3戦以降のジャッジに何らかの影響が出るのは間違いなく、それはサンズにプラスに働くだろう。少なくとも「やられっぱなしではいられない」というブッカーやブルックスの気持ちのこもった議論だと言える。
一夜明けて、ブッカーにはリーグから3万5000ドル(約530万円)の罰金が科された。だが、これは連敗で始まったシリーズの流れを変えるための必要投資だ。ブッカーもブルックスもホームに戻り、サンダーとは違う『自分たちのやり方』で王者に一矢報いようとしている。