ヤクセル・レンデボーグ

ロースコアの展開を制し、1989年以来2回目の優勝

コネチカット大とミシガン大の顔合わせとなったNCAAトーナメント決勝は、お互いが相手のプレーを読んだ強力なチームディフェンスでロースコアの展開となりました。トーナメント5試合すべてで90点以上を叩き出したミシガン大のオフェンスに対して、相手の良さを消しきるディフェンスこそがコネチカット大の持ち味。コネチカット大が試合の主導権を握っているように見えましたが、ミシガン大は強力なリムプロテクトで6ブロックを記録し、69-63で1989年以来2回目となる優勝を果たしました。

直近3年間で2回の優勝と圧倒的な結果を残しているコネチカット大は、ヘッドコーチのダン・ハーリーによる高度で多彩なオフェンスと、相手の良さを消してしまう見事な戦略、そして勝負強いチームを作ってきました。このトーナメントでも準々決勝ではデューク大を相手に前半で15点ビハインドとなりながら、残り0.4秒での劇的な逆転3ポイントシュートで勝ち上がってきました。

その逆転シュートを決めたブレイロン・マリンズがシューターとして動くと、そこには複数のスクリーナーが用意され、逆サイドへ走ったと思えばクルリと反転してコースを変更し、そうかと思えばスクリーナーがシューターポジションへ移動し、気が付けばゴール下でセンターがポジションを取っている……。コネチカット大のオフェンスは5人全員が連動して動くのはもちろん、ボールをもらいに行く動きが囮の動きでもあり、シュートを打つためでもパスの中継役になるためでもあり、複雑ながら正確なタイミングで繰り返されていきました。

これに対してミシガン大はアーリースイッチを多用し、アウトサイドへの動きに先回りして追いかけながら、センターのアダイ・マラだけはゴール下のカバーを優先させるディフェンスを準備し、ペイント内でのチャンスが生まれてもガードやウイング陣も即座にヘルプに飛んで来ることで、コネチカット大のフィールドゴール成功率を31%に抑え込みました。

ミシガン大のオフェンスは、すべてのプレーを読んでいるようなコネチカット大のディフェンスに苦戦して、フリーを作れずに3ポイントシュートは15本中2本しか決まりません。加えて2日前の準決勝で足を捻挫していたエースのヤクセル・レンデボーグは、フィジカルを生かして強引に突破してもシュートタッチが悪く、フィールドゴール13本中4本と爆発には至りませんでした。

両チームに差が出たのはフリースローでした。ハードに守るコネチカット大に対してガードやウイング陣もフィジカルに戦ってファウルを誘発したミシガン大が28本のアテンプトを得たのに対して、強烈なリムプロテクトに悩まされたコネチカット大はガード陣がシュートファウルを引き出せず、チームで16本のアテンプトに留まりました。このフリースローによる25得点が、ミシガン大がロースコアの試合を制する一番の要因となりました。

ミシガン大の主力には他の大学でベンチだった選手もいて、就任2年目のヘッドコーチ、ダスティ・メイがチームへ誘い入れ、ポテンシャルを最大限に生かして勝てるチームへと進化させてきました。個人レベルの成長と高度なチーム戦術を組み合わせての見事な優勝でした。