『ヒートらしいバスケ』を取り戻してシクサーズを撃破

ヒートは直近の8試合で7敗を喫する不調で順位を落としていた。プレーオフへのストレートインとなる6位も遠ざかりつつあるが、順位云々よりもまずは連敗を止め、『ヒートらしいバスケ』を取り戻すことが必要だった。

現地3月30日のセブンティシクサーズ戦は序盤から2桁のリードを奪ったが、それは3ポイントシュートが立て続けに決まった結果でしかなく、シュートの当たりが止まるとすぐに追い付かれた。シクサーズも苛烈な順位争いの最中にあり、ジョエル・エンビードとポール・ジョージが戦線復帰し、タイリース・マクシーとVJ・エッジコムのカルテットが復活したことで勢いがあった。

それでも後半になって『ヒートらしいバスケ』が出始めた。ゾーンディフェンスを多用して相手のインサイドの強みを消し、アップテンポに攻めに転じる。シクサーズのターンオーバーはわずか9で、ライブターンオーバーからのブレイクという分かりやすい形は少なかったが、エンビードを軸とするシクサーズのハーフコートバスケに付き合うのではなく、失点してもすぐにリスタートして速いペースを作り出すことを徹底した。

それを生み出したのは、ハーフタイムでのミーティングだった。タイラー・ヒーローは「ハーフタイムに良いコミュニケーションが取れた。面と向かって話し合ったことで、第3クォーターは攻守の強度を上げることができた」と言い、バム・アデバヨは「負け続けて順位を落とすのは悔しいものだ。だからこそ、僕たちが責任を持って発言し、勝利をつかみ取るためにやるべきことを確認し合った」と続けた。

ヒーローとアデバヨ、リーダーシップを発揮すべきベテランの言葉がチームを引き締めた。後半も流れが行ったり来たりの展開となったが、『ヒートらしいバスケ』を続けた効果は試合終盤に現れた。

長期出場停止の間に万全のコンディションを整えたジョージはともかく、エンビードはいまだ膝と脇腹にケガを抱えており、ハイペースな展開が続くことでゴール下での支配力を保てなくなった。

その終盤に勝利を引き寄せる働きを見せたのはヒーローだった。アグレッシブにプレーしていたがシュートタッチは低調で、第3クォーター終了時点で3ポイントシュートは7本中1本しか決まっていなかったが「自分が決める」という積極性を決して失わなかった。それはシュートに限らず、ディフェンスでもクラッチタイムにエンビードのファンブルを誘い、ジョージの3ポイントシュートを指先でブロックするなど、どんなボールにも食らい付く姿勢が前面に出ていた。

第4クォーター残り3分半で4点のビハインド。ここからヒートはオフェンスリバウンドを奪ったアデバヨのダンク、ヒーローのトランジションスリーとキックアウトを受けてのディープスリーと連続得点で一気に逆転。さらにはフットワークの鈍くなったエンビードを狙ったハイメ・ハケスJr.がスピンムーブからゴール下を決め、ペレ・ラーションも続く。最後はヒーローがトップスピードのドライブに目線のフェイントを織り交ぜてのフローターを沈め、15-0という怒涛のランで試合を締めたヒートが119-109で勝利した。

クラッチタイムにエースの責任を果たしたヒーローは、30得点を記録。「守備で相手をよく抑え、トランジションで走れたことから生まれたシュートだ。ハイメとペレが良いパスを出してくれた。一日に何度も打っているシュートだから、自信を持って打てたよ」と語る。

良い勝利ではあったが、ヒーローもアデバヨも「勝ち負けに一喜一憂しない」と口を揃えた。アデバヨは言った。「レギュラーシーズンも残り6試合、やるべきことは分かっている。僕とタイラーは、今まで以上に声を出していくよ。今日のような意思を持って戦わなければ勝つことはできないんだ」