「100%に近いプレーをしないと勝てない相手」

「疲れました。 本当にチャンピオンシップみたいな試合でしたね。 去年のファイナルを思い出しました」。そう語り始めたのは、宇都宮ブレックスで日本人ビッグマンとしていぶし銀の活躍を見せる竹内公輔だ。宇都宮は3月20日に『東アジアスーパーリーグ(EASL)』のチャンピオンを決める『EASLファイナルズ マカオ2026』のセミファイナルで琉球ゴールデンキングスと対戦し、互いの強みを貫いた激戦を103-96で制してファイナル進出を決めた。

宇都宮がD.J・ニュービルと比江島慎のアタックによってスペーシングを生み出し、グラント・ジェレット、ギャビン・エドワーズの内外のプレーや、遠藤祐亮といったシューターが3ポイントシュートを効果的に決めるのに対し、琉球はジャック・クーリー、アレックス・カークのビッグマンがインサイドを支配していく戦いとなった。この試合で途中出場して、カークとマッチアップした竹内は後悔を口にした。

「自分が出たタイミングで最初にやられてしまいました。カークのあの右フックを止められなくて。それがきっかけで自分の出場時間に良いリズムが作れなかったということがすごく悔しいです」

そう語るのは、第1クォーター4分半を過ぎにカークがペイントエリアにバックダウン(ポストプレーでオフェンスが背中を向けたまま、ディフェンダーを背中で押しながらゴール下へ押し込んでいく技術)で押し込み、竹内の上から決めたフックシュートだ。この得点を機に琉球は、カークのインサイドプレーを連続で選択。9-1のランを成功させ宇都宮にタイムアウトを取らせた。

「個人的には、イージーに点を取らせるつもりはなかったです。100%を求めるのは難しいかもしれないですが、やっぱり一発勝負の試合では、100%に近いプレーをしないと勝てない相手だなと思いました」と語るように、カークは23得点とチームハイの活躍を見せて宇都宮を苦しめた。

「リバウンドさえ取ることができれば自分たちのペースに」

ストイックな考えを持ちながらも竹内は、すでに気持ちを次戦に切り替えている。「チャンピオンシップみたいに同じ相手と何試合も連続で戦うわけではなく琉球とはこの大会でもう戦わないので、新たな気持ちで臨もうというほうが今は強いです」

そしてこう続ける。「アルバルク(東京)は、(桃園パウアン・パイロッツに)リバウンドを制圧されてしまったのが敗因と僕は考察しています。 2人のビッグマンがいる桃園は琉球とちょっと似ていますが、絶対に琉球のほうが強いと僕は思っています。 だから、リバウンドさえ取ることができれば自分たちのペースになるはずです」

ファイナルの相手である桃園は昨年のEASLで栄冠に一歩届かず、準優勝と辛酸を舐めている。オールEASLチームに選出されたガードのルー・チュンシャン、今大会で平均18.3得点、8.5リバウンドを記録するビッグマンのアレック・ブラウンは前回大会の雪辱を果たすために闘志を燃やしているだろう。だが、竹内の心の内は冷静だ。

「できたらチームに貢献して優勝するのが理想ですが、別にどういう形であってもいつも通り、自分のできることを100%やって結果が付いてきてくれれば良いと思っています」。そこには昨シーズン、Bリーグ王者に輝き、多くの国際大会で勝ち上がってきた経験を持つ宇都宮で戦ってきたからこそ得られた経験が生きていると語る。

「去年のチャンピオンシップファイナルのゲーム3でも、12点のビハインドをまくって勝ちましたし、その直後に行われたBCL Asia(FIBAバスケットボール チャンピオンズリーグ アジア)の決勝でもスーパーアウェーの中、劣勢をはねのけて勝ちました。デジャヴではないですが、琉球の試合もそれに似たシチュエーションがあって、みんな常に焦らず平常心でプレーしていました。だからファイナルも気負わずにやりたいと思います」

過酷な日程を突き進み、ついに宇都宮はファイナルの舞台へと辿り着いた。日本勢にとっては3シーズン連続でのBリーグクラブ優勝が懸かる一戦となる。会場のボルテージもこれまで以上に高くなることだろう。興奮の渦巻く中だからこそ、竹内が語るように気負わずにプレーすることが重要となる。宇都宮にとって初のEASL制覇はすぐ目の前まで来ている。