「ベンチマークされる存在であり続けたい」

宇都宮ブレックスが栄冠を勝ち取り、Bリーグクラブが3シーズン連続の優勝を飾り幕を閉じた『東アジアスーパーリーグ(EASL)』。東アジアを代表する12のチームが集まり、国内シーズンの合間を縫って行われたこの大会は年々規模を拡大し、国際的にも重要な位置付けになっている。

その歴史は2017年に始まり、アジアのクラブへ国際舞台を提供する大会としてスタートした。初年度はアジア各地から8クラブを集めて『Super8』の名前で始まり、記念すべき初代王者に千葉ジェッツが輝いた。その後、2018年にクラブ数を12に拡大し、大会名称を『The Terrific 12』として開催。2023年3月にはFIBAとの公式パートナーシップの下で『EASL Champions Week』を行うと、同年の後半には初のホーム&アウェー形式によるシーズンを開幕させ、現在に至る。

そしてこの大会は昨年の12月に『FIBAバスケットボール チャンピオンズリーグ アジア(BCL Asia)』の予選会を兼ねるという発表がされた。BCL Asiaはクラブ世界一を決める『FIBAインターコンチネンタルカップ』への登竜門。日本ではこれまで、Bリーグの年間チャンピオンがBCL Asiaに出場していたが、ロードマップが整理され、Bリーグで上位3クラブに入ることから始まり、その3クラブがEASLへ、EASLで最も成績の良かった1クラブがBCL Asiaへと進む。そしてそこで優勝したクラブがインターコンチネンタルカップ出場権を獲得する流れへと刷新された。これによってEASLは日本国内のクラブにとっても重要な大会と位置づけされるようになった。

このように大会の価値は大きく成長している。しかし、一つの疑問点が浮かび上がる。ファイナルを含め観客数はBリーグのレギュラーシーズンの試合よりも少なく、座席の埋まりもまばらなエリアも見受けられた。権威ある大会となったEASLはなぜ現地での盛り上がりに欠けるのか、この謎を紐解いて語ってくれたのは、EASLのCEOを務めるヘンリー・ケリンズだ。

「1試合あたりの平均視聴者数は、昨シーズンの380万人から今シーズンは460万人に近づいています。総視聴者数は、昨シーズンの1億9000万人からおそらく2億4500万人に達するでしょう」。そう語るように、EASLを観る大多数は『ライブ観戦』ではなく、『ライブ視聴』だ。これは大会の規模が東アジア全体を包括していることにも起因し、まだスポーツツーリズムの文化が整っていない背景も重なっている。またヘンリーCEOはソーシャルメディアも好調であることを続けた。「SNSの指標についてはエンゲージメントや再生数など複雑ですが、全体としてチーム数は20%増の一方で、主要な指標は前年比で2倍になっています」

各地での視聴数が増加し、SNSを駆使することでワールドワイドに大会の価値を高めていく。そうすることで、国内クラブやリーグでは獲得できない世界的ブランドのスポンサー獲得を可能にしている。「チーム数は昨シーズンの10から12へと20%増えましたが、スポンサー数は24から55へと倍増しています。中国銀行やアンダーアーマー、ジョッキークラブといった大企業と複数年契約を結ぶことにも成功しています」

こういった背景を元にEASLは強気な姿勢を貫き、優勝賞金は150万ドル(約2億3000万円)という高額設定をしている。これについてケリンズCEOは「バスケットボール界で提供される最高額の賞金としてベンチマークされる存在であり続けたい」と語る。唯一無二の大会であることで注目度は上がり、賞金が高いことでクラブは質の高いバスケットで争うことになる。そうすると試合が面白くなり、視聴者数も増加。結果、放映権の価値が上がり、さらなる収入が見込めるという好サイクルを生み出す先行投資となっているのだ。