唯一成功した3ポイントシュートに裏付けられた自信

三遠ネオフェニックスは3月11日に佐賀バルーナーズと対戦し、96-91で逆転勝利を収めた。

先に主導権をにぎったのは佐賀だった。連動性を主体とする佐賀はディフェンスを切り崩しフローの中で得点を量産。対する三遠はヤンテ・メイテンのアドバンテージを見出そうとするが、ハンドラーがボールを持ちすぎる場面や、ビッグマンのディープシール(ペイントエリア内のゴール下付近の深い位置まで、ボールをもらえるように身体を張ってポジションを取るプレー)を見逃すこともありリズムをつかめなかった。しかし、後半の出だしを佐々木隆成、大浦颯太の2ガードでスタートすると、11-2のランに成功して12点差を一気に引き戻す。その後再び突き放されたが、第4クォーターに13得点を挙げたようにメイテンのアドバンテージを生かしきったことで勝利し、連勝を7に伸ばした。

先発起用が続きこの試合もトーンセットを任された根本大だったが、佐賀のシステムを警戒するあまり基本となる1on1で角田太輝に攻め立てられ、リードを許してしまった。大野篤史ヘッドコーチは「僕たちのゲームプランで、佐賀さんはドリブルからのプルアップスリーが得意じゃないということで、逆に選手に情報を伝え過ぎてしまったことが要因です」と振り返ったが、「今日の根本はトーンセットが全然できていなかったですね」と手厳しい評価も口にした。

指揮官の期待に応えられず、後半のスタートはベンチで過ごすことになった根本だったが、拮抗した展開となった第4クォーターのオフィシャルタイムアウト突入前に、この日唯一の得点となる3ポイントシュートを射抜いた。これで2ポゼッション差に広げることに成功し、微々たるリードではあるがボールが周る中で決めたシュートは三遠に自信を呼び戻させた。

根本はこのシュートについて「前半は、ちょっと消極的で迷ってる部分があったので、ハーフタイムの時にちょっとマインドセットをし直して、空いたら迷わずに自分のリズムで打とうと意識していました」と語り、精度向上に取り組んできた結果だと続けた。「大村(将基スキルディベロップメントコーチ)さんを始め、コーチ陣がシューティングを手伝ってくれていて、本数を結構打ち込んでます。今まではクイックで打つのがちょっと苦手だったのですが、その改善に大村さんと夏から取り組んできました」

2年目の根本は、昨シーズンの3ポイントシュート成功率が21.7%と、相手チームからノンシューターとして扱われることもあった。それが今シーズンは43.1%と大きく向上している。これは今シーズンに40試合以上出場したポイントガードの中でリーグ2位の数字だ。「明確に自信が持てるようになったのは、横浜(ビー・コルセアーズ)戦のキャリアハイの試合で、6本決めた試合っていうのは一つ大きく、自信になる試合となりました」。確実に上がった数字と、つかみ取った自信によって今回の3ポイントシュートが生まれたに違いない。

大村スキルディベロップメントコーチも「本当に素直な良い子なんですよ。真面目に、言われたことをしっかり自分の中に取り込んでやってくれています」と、根本の成長を喜び、取り組む姿勢を評価した。

大野HC「吸収しようとする姿勢や意識は評価しています」

「やっぱり1試合ごと、一つの練習ごとに成長していくというのが、チームにとって良いことなんじゃないかなと思います。今日の試合も個人的な課題が多く出たので、それを一つずつ次の試合までに克服していくことでチームに還元できると思っています」。試合後、そのように今後の目標を語った根本には、まだまだ克服しなくてはいけない課題もある。

大野ヘッドコーチは「僕たちのオフェンスはフローオフェンスで、プレーセットはなかなかやらないので、どこにアドバンテージがあるのか、相手がやって欲しくないプレーをやるためにはどうするべきなのか、と言うことを身につけてほしいです」と、ステップアップのために状況判断の向上が必要だと語った。

根本も「やっぱりまだ1人でゲームをコントロールするっていうのは正直難しいです。コーチ陣もたぶん自分の弱点を隠すために、2ガードで出してくれていると思うので、1人でコントロールできるようになるのが目標です」と言い、このように続けた。「試合の流れを読む力だったり状況判断っていうところは、やっぱりあの2人がとても長けている部分だと思うので、そこを試合や練習中に見て、体感して盗んでいきたいです」

『あの2人』とは、佐々木と大浦という近年の三遠の躍進を支えるガード陣である。この試合でも前述の通り、後半の出だしで試合を一変させた。彼らがバックアップでいることで若手もミスを恐れず成長を続けられることができるのだろう。

大野ヘッドコーチも若手へのバックアップ体制を引き続き整えている。「若い子たちの吸収しようとする姿勢や意識というのは、すごく評価しています。ゲームのフィードバックをしてフィルムワークをすることも良い経験ですが、コートでプレーすることと、ベンチに座っていることでは得るものが全然違います。勝たなくてはいけない状況ですが、チャンスがあればどんどん出していきたいです」

大野ヘッドコーチも言うように三遠は、チャンピオンシップ出場のために勝ち星を落とせない戦いが続いている。シーズン序盤からケガ人が続出したことで若手メンバーの起用はコンスタントに続いており、全員がステップアップをしている。その中で、根本は3ポイントシュートの成功率を上げる成長を見せた。さらなる高みへチームとともに駆け上がるために若きポイントガードの学びは続いていく。