渡嘉敷来夢

「帰国して、24時間あるかないかで試合」

3月11日から開幕する『FIBA 女子バスケットボールワールドカップ2026』予選トーナメントに向け、女子日本代表は着々と準備を進めている。

世界の強国と戦う上で、チーム最長身の身長193cmを誇る渡嘉敷来夢の存在は必要不可欠だ。渡嘉敷も「一番は日本にない高さの部分で、少しでもチームのプラスになれれば」と言う。「Wリーグでも外国籍選手が増えてきているので、相手のビッグマンを1対1で守るところは例年よりも慣れていると感じます。この代表でどれだけ発揮できるかだと思っています」

今回の合宿では全員が自分のロール(役割)を話す場面があり、渡嘉敷は上記のように高さを強調した。しかし、コーリー・ゲインズヘッドコーチにさらに上乗せを求められ、「エナジー!」と答え、これが仲間たちに刺さったという。

「『エナジー!』ってデカい声で言ったら、みんなが気に入って『エナジー』ってイジってくるんです(笑)。ドライブも割と評価してもらえていて、積極的にリングにアタックすることは続けてほしいとも言われました。ペイントの得点は自分が取るぐらいの気持ちでやらなきゃダメだと思っています。プレーでもエナジーを与えられるようにというのは、より求められているので頑張ります」

Wリーグは今シーズンから外国籍選手登録規定改定があり、以前の『通算5年以上日本国に在留していること』という条件が撤廃されたため、外国籍選手の加入が増えた。渡嘉敷が所属するアイシンウィングスもアミラ・ジャネイ・コリンズを獲得したが「外国籍がいても、私が外国籍をマッチアップすることが多かったので、今シーズンは一番身体を張っていた」と、シーズンを通して屈強な選手と戦い続けた。

渡嘉敷はWリーグで14.1得点、5.0リバウンド、3.5アシストとさすがの活躍を見せたが、チームは9勝19敗で7位と落ち込み、入替戦進出を余儀なくされた。そして、その入替戦は3月20日に行われる。「帰国して、24時間あるかないかで試合」と渡嘉敷が言うように、3月17日の夜にアルゼンチンと対戦し、翌日に約半日のフライトを終えた後、すぐに大事な試合が待っている。タフな日程もあり、代表への参加を悩んだという。

「チームの降格がかかっているから、やっぱりそこはと思って。最初は代表に参加しないと言うつもりでした」

渡嘉敷来夢

「もう絶対に日本代表から外れたくない」

それでも、代表とチームの二足の草鞋を履くことを決めたのは「必要とされているうちが花」との思いからだ。

「パリ五輪の時もそうですし、東京五輪の時もケガで合宿に参加できていなかったから、どんな理由があったとしても、自分から辞退はしたくなかったんです。必要とされている場所で絶対に頑張りたいと思っていたし、コーリーも面談の中で『タク(渡嘉敷のコートネーム)はどっちもできる』と、自分の可能性を信じてくれたので。『どっちもできたら自分カッコよくね?』みたいな。どっちも全力で勝ち取ります」

桜花学園時代の恩師の言葉も渡嘉敷の背中を押したという。そして、代表から離れたことも、結果的に現在の考えに至るために必要だった。そう思えるからこそ、渡嘉敷は今まで以上に強い気持ちを持ってミッションに挑む。

「井上(眞一)先生から『お前は絶対にロス五輪に行け』と最後に伝えられているので、それがあるから自分は踏ん張れます。世界の選手とできるというところで、若い頃の気持ちがまた蘇ってきている感じは強いです。これくらいの歳になって、何年も代表にいると、そういう気持ちって少なからず薄れると思うんです。でも、久しぶりの日本代表があって、アジアカップがあって、今回はワールドカップ予選。本当にめちゃくちゃ楽しみですし、もう絶対に日本代表から外れたくないと思って今は過ごしています」

ビッグマンを抑える大役に加え、チームにエナジーを注入する。求められることは以前よりも多くなったが、今の渡嘉敷はその役割が大きければ大きいほど闘志を燃やし、日本のために力となってくれるはずだ。