飯田遼

「やられてはいけない選手にやられすぎた」

「『引き続き応援してください!』って、本当は思い切り言いたいんですけど……。すごく悔しいと思うんですよね。応援してくださっている方も」

115日のアウェー越谷アルファーズ戦で良い時間帯を作りながも、76-65で敗れた川崎ブレイブサンダースの飯田遼は試合後に悔しさをにじませ、言葉を詰まらせた。

序盤は越谷に先行を許したがすぐさま立て直し、リードを奪い返して第1クォーターを終えた。飯田は2本の3ポイントシュートを沈め、オフェンスを牽引。試合を通じて6本中3本の3ポイントシュートを決めて、シーズンハイ(タイ)となる11得点を記録した。

川崎はここまでチームトップの得点を記録していたロスコ・アレンがインジュアリーリストに登録され、その穴を埋めるため誰かが得点源を担う必要があった。「ロスコがいないから積極的にやろうというのは特になく、いつも同じ気持ちで入っています」飯田はそう前置きをした上で、2試合で3ポイントシュートが7本中1本成功に終わった長崎ヴェルカ戦の反省が生きたとこの試合のパフォーマンスを振り返った。

「長崎戦は自分のタイミングで良いシュートが打てなかった反省があり、今日は少しでもズレができたり、良いタイミングでボールが来たら積極的に狙うことが大事だなと意識してゲームに入りました。それが最初の2本に繋がりました」

「我慢強くできていた時間帯は、いつもより長かったです」という通り、川崎は11点のビハインドを背負った後半開始から第3クォーターで一時逆転にこぎつけた。しかし、最終クォーターのオフィシャルタイムアウト以降、流れをつかめずに敗戦に終わった。

「簡単に相手にチャンスを与えてしまったところがよくなかったです。やられてはいけない選手にやられすぎたなって。セクー(・ドゥムブヤ)選手が31点、(アンソニー・)クレモンズ選手も15点なので……」と相手のスコアラーを乗せてしまったのが敗因だと語る。

飯田遼

「チームで守るマインドがないといけない」

シーズンハイとなる2855秒の出場時間が物語るように、飯田個人のディフェンスインテンシティは非常に高いものだった。足を使い、越谷の起点となるクレモンズや池田祐一と対峙した。激しいプレッシャーをかけていたが、それでもクレモンズに3ポイントシュートを決められる場面もあった。

「もっと上手くできたなって毎試合思います。今日もスリーを打たれたし、打たれたら(高確率で)入ってしまった。もっとプレッシャーをかけて、ペイントアタックに仕向けることもできたのかなと思います」と自身のディフェンスを振り返った。

個々のディフェンス強度があっても、チームスポーツであるバスケットボールはチーム全体の意識がなければ守れない。この試合では連動して守れている時間帯もあった。飯田もそれを理解して、チーム全体で守ることにフォーカスしている。

「(チームディフェンスに)波があって、できている時とできていない時があるのは良くないです。なぜできてないかを考えなければいけないかと思います」と話した上で、自身の考えを明かす。

「出ている5人に、チームで守るマインドがないといけないです。どうしても11で守るのは限界があるので、ヘルプとローテーションを繰り返して『チームで守れているな』という感触が増えてくれば、もっと僕らが勝つチャンスがあるのかなと」

「強度高くディフェンスする、リバウンドを取りに行く、良いスペーシングでバスケットをするというのは、今日は比較的良かったと思うので、そこは最低限のベースとしてこれからもできなければいけないです」

川崎ブレイブサンダース

「僕らができることとして、もちろん勝ちたい」

「やっぱり勝ちたかった。どの試合も勝ちたいですけど、今日は勝てるチャンスがたくさんあった試合だったので、余計に悔しいです」勝てる手応えがあったからこそ、より悔しさは増幅する。

平日のナイトゲームだったが、同じ関東とはいえ決して近くない越谷にチームのファンはたくさん駆けつけていた。「僕らができることとして、もちろん勝ちたい。今日もホームのような感覚になる声援を送ってくれているので、本当に感謝しかないです。だからこそ一緒に勝ちたいです」

川崎はBリーグ開幕以降、チャンピオンシップの常連としてリーグに君臨していたが、直近2シーズンは進出を逃している。特に昨シーズンに1842敗で中地区最下位という屈辱を味わったからこそ、今シーズンにかける気持ちは大きい。伝統あるクラブだからこそ、チーム力を大事にしたいと飯田は続ける。

「ルーズボール1つにこだわる、チームでしっかり守る、チームメートを信じてバスケットをすることは、 勝つ・負けるよりも前の段階で大事なことだと思います。この歴史ある川崎ブレイブサンダースというチームは、昔からそういう部分が強みだったと思うので、メンバーが昔から変わっても、そこは変わらずにやっていきたいです」

現在川崎は211敗と、リーグ下位から抜け出せないでいる。しかし、炎はまだまだ消えていない。試合後、選手たちは下を向かずに輪になり、前へ進む決意を新たにしていた。

「さっきコーチなしで選手全員で (津山)尚大が中心になって話しました。もっともっと自分たちで良い雰囲気を作ってやっていかないといけないです。すぐに週末に試合があるので、切り替えて勝ちを届けられるように頑張ります」