守備の要を失ったジャズは来年の指名権確保にシフト?
ジャズは先発センターのウォーカー・ケスラーを失うことになった。左肩の関節唇断裂で今シーズン終了。これでジャズは永遠に彼を失う可能性がある。
ジャズは再建が続いているが、今シーズンの目玉はケスラー、カイル・フィリパウスキー、ラウリ・マルカネンのビッグラインナップ。それで開幕から3勝4敗とまずまずのスタートを切っていたが、ケスラーは肩の痛みで2試合を欠場した後、シーズン全休が決まった。
ケスラーはルーキーイヤーから恵まれた体格を生かしたリムプロテクト力でジャズの戦力となっていた。オフェンス面も着実に成長し、昨シーズンは初めて平均得点を2桁に乗せ、今シーズンは5試合ではあるが14.4得点、10.8リバウンド、3.0アシストとスタッツを大幅に伸ばしていた。
ケスラーは2022年の1巡目22位指名選手で、ジャズで4年目を迎えている。ルーキー契約の最終年で、今オフには契約延長で合意に至らなかった。ただ、これはジャズにとって『戦略的』なもので、来年オフに契約するほうがキャップホールドで有利になるためだ。ケスラーとしては早々に長期契約を得たかっただろうが、気持ちを切り替えて今シーズンに臨んだところで、早々にシーズン終了となってしまった。
ジャズはケスラーを成長させつつ、自分たちに有利な契約延長を持ち掛け、良いオファーがあればトレードも受け入れるつもりだった。しかし、これで今シーズン中のトレードが成立する可能性はなくなった。ケガが癒える来年オフに、ケスラーに『控え目な』契約を提示して残留させることになるだろう。
そしてケスラーの離脱は、ジャズの今シーズンを早々にあきらめさせる可能性がある。来年の1巡目指名権は、9位以下であればサンダーに譲渡されるが、8位以内であれば保持できる見込み。来年のドラフトは豊作とされ、今年のルーキーであるエース・ベイリーに続いて良いタレントを確保できる可能性が高い。
つまり、今シーズンは勝つよりも負けることが意味を持つ可能性が高い。悪くないスタートを切った今、ケスラーが離脱しても若いチームが成長すれば勝率5割をキープしてプレーオフに進むことは可能かもしれないが、経験不足のチームがプレーオフを勝ち進むとは考えづらい。28歳になったエースのマルカネンのトレードも含め、ジャズは再びタンクを検討するはずだ。
その決断を下すのはもう少し先でいい。ジャズは勝利の必要性に迫られておらず、様々な選択肢を検討できる。しかし、シーズン序盤にケガを負い、大型契約を得られる可能性が一気に下がったケスラーには気の毒な状況となった。そして現地11月5日、ケスラーを失ったジャズはピストンズに敗れて3勝5敗となっている。
