前田ヘッドコーチ「守れないチームになっていて責任を感じます」
秋田ノーザンハピネッツは10月15日、アウェーのアルバルク東京戦に75-86で敗れた、この試合、秋田は立ち上がりからA東京のやりたいプレーをうまく阻止することができず、ゴール下でのイージーシュート、オープンでの3ポイントシュートを許し、最後までディフェンスで踏ん張りきれなかった。この結果をもって、秋田は開幕から1勝4敗スタートとなっている。
秋田といえば、相手にくらいつくような粘り強いディフェンスを持ち味としているチームだ。しかし、開幕からの5試合中3試合で86失点以上を喫するなど、自分たちのやりたい守備を遂行できていない。この現状を受け、秋田の前田顕蔵ヘッドコーチは危機感をあらわにした。
「僕たちが我慢をしきれなかった。同じミスを何回もして守りきれなかった。オフェンスでフラストレーションを溜めて、ディフェンスでうまくいかない時間帯、徹底できていない部分が多かったです。守れないチームになっていて責任を感じます」
こう試合を振り返る指揮官は、「やっていること自体はこれまでと変わらないですが、スタンダードが低いです」と厳しい評価をしている。
「シンプルに東京さんのほうがフィジカルにやっていました。スクリーンに当たったら転んだり、簡単にレイアップに行かれたり、チームとして守れていない。そして『ここでやられたのは誰かのミスでしょ』という感じで、チームの失点という認識があまりにも低い。そこを徹底させられていないのが現状だと思います」
成績だけでなく内容においても苦しんでいる秋田だが、その中で昨シーズンからのステップアップを見せている選手が赤穂雷太だ。197cmのサイズと機動力、フィジカルを備えた日本人屈指の大型ウイングは、この試合でも26分8秒出場。昨シーズンの平均プレータイムは17分59秒だったが、ここまで5試合で平均24分29秒と大きく増加し、名実ともに中心選手の1人となっている。
「相手の外国籍ウイングにつけるのは僕しかいない」
赤穂は、今のチームを次のように見ている。「開幕してからチームとしてディフェンスが課題で、オフェンスではテンポを上げようと話をしています。プレシーズンでできていたことが、できていない状況。この試合ではテンポを少し上げることはできましたが、どうしてもディフェンスで崩壊しています。秋田はディフェンスにプライドを持たないといけないのに、それができていないのは良くないです」
赤穂はディフェンスの課題について「まずは気持ちの部分が大きい」と語る。「コーチが用意してくれている戦術を徹底できていない。開幕してからけっこう経っているので、アジャストするのに時間が足りないというようなことは言い訳でしかないです。まずはそこをしっかりやらないと、このままズルズルといってしまう危機感が強いです」
一方で、自身のプレータイム増加については次のような手応えを得ている。「身体の調子はすごくいいですし、在籍3シーズン目で戦術への理解が深まっている手応えはあります。この数試合、長く出させてもらっている中で『体力がないな』という課題も見つかったので、しっかりと成長していきたいです」
そして、「長く出させてもらっているので、もっとチームを引っ張っていかないといけない。責任は増していると思っています」と語った。
秋田はアジア特別枠・帰化枠でレバノン代表である182cmのポイントガード、アリ・メザーを獲得。この方針もあって、赤穂は開幕から外国籍や帰化枠のウイングにマッチアップし、この試合でも高い得点力を備えたマーカス・フォスターをマークした。赤穂はこの重要な役割への強い覚悟を示す。
「1人で抑えられるに越したことはないですし、そこが究極の目標なのでまだまだ足りないです。ただ、これまでに比べるとよくなっています。秋田で相手の外国籍ウイングにつけるのは僕しかいないと思って、そこにプライドを持ってやっていきたいです」
開幕5試合すべてアウェーゲームという試練の中、苦しい結果となった秋田だが、ここからの5試合は逆にすべてがホームゲームだ。リーグ屈指の熱さでチームを後押ししてくれるファンで埋め尽くされた会場の雰囲気は、チームにとって何よりも大きな武器となる。
「ホームのみなさんの前で連敗を止めて、5連戦でしっかり勝ち越して勝利を届けていきたいです」と赤穂も語るが、10月の残り5試合は秋田にとって悪い流れを変える大きな踏ん張りどころだ。