攻守にハイエナジーを出してタフに戦うスタイルに合致
ラッセル・ウェストブルックはキングスと1年360万ドル(約5億4000万円)の契約を結ぶと『ESPN』が報じた。
キングスはオフが始まってすぐに先発ポイントガードとしてデニス・シュルーダーを獲得。その後もずっと噂されていたウェストブルック獲得がこのタイミングで実現したのは、トレーニングキャンプとプレシーズンゲームでシュルーダーに続くポイントガードの台頭がなかったからだろう。
1カ月後に37歳となるウェストブルックは、デビューから11シーズンを過ごしたサンダーを離れた2019年以降、ロケッツ、ウィザーズ、レイカーズ、クリッパーズ、ナゲッツを渡り歩き、一定の存在感は示したがチームに定着できていない。
レイカーズで控えを受け入れて以降、チームを引っ張るエースからセカンドユニットで攻守にエナジーを出す役回りとなり、クリッパーズとナゲッツでも一定の評価を得てきた。プレータイムと役割が限定された今、大ベテランの年齢になってもスタミナを気にすることなく攻守にアクセル全開でプレーできる。それでもプレーの精度は落ちつつあり、躍動感溢れるリムアタックは見せてもフィニッシュが決まらないといったシーンが増えた。結果、昨シーズンのナゲッツではウェストブルックの貢献度が認められていたにもかかわらず、「そのプレータイムは若手に与えるべき」との議論が出てヘッドコーチ交代まで行われ、ウェストブルックには契約延長がオファーされなかった。
昨シーズンのキングスは40勝42敗、プレーインで敗れた。指揮官マイク・ブラウン解任がチーム崩壊を引き起こし、『チームの顔』だったディアロン・フォックスがトレードを要求してスパーズへと移籍。数年前は若手によるダイナミックなバスケで将来性を感じさせたが、今はドマンタス・サボニスの成長は頭打ちとなり、デマー・デローザンとザック・ラビーンもピークを過ぎてチームを低迷から引き上げるには物足りない。
ブラウンからキングスを引き継いだダグ・クリスティは、攻守にハイエナジーを出してタフに戦うチームを作りを進めており、ウェストブルックはそのスタイルに合致する。開幕を前にキングスの評価は決して高くないが、ウェストブルックは18年目のシーズンを実りあるものにすべく全力を尽くすだろう。
昨シーズンのキングスのベンチは得点がリーグ28位、アシストが29位と大きな弱点となっていた。キングスにとって最善のシナリオは、ウェストブルックがこのセカンドユニットを大きく向上させること。そして彼の勝利への意志が他のベテランへと伝染し、チーム全体の士気を高めることだ。