補強も含め、ロスターの大半がキャリア5年以下の若手
めぼしい対価を得ることなくブラッドリー・ビールを放出した時点で、ウィザーズはゼロからのリスタートを決意したものと思われましたが、カイル・クーズマやジョーダン・プールを中心としたチーム作りへと移行した後も、育成に振り切るわけでも勝利を追求するわけでもない期間を過ごしました。それでも昨シーズンはアレックス・サー、バブ・キャリントン、キーショーン・ジョージと3人の1巡目指名のルーキーを起用し、ついに本格的な再建をスタートさせました。
今オフはトレードで2024年の26位指名のディロン・ジョーンズ、2023年の20位指名のキャム・ウィットモア、2022年の20位指名のマラキ・ブランハムを獲得。ロスターの大半がキャリア5年以下の若手となり、そこに大ベテランのクリス・ミドルトンとCJ・マッカラムがチームを支える構成となります。
明確に育成へと振り切ったウィザーズですが、まずは誰がエースになるのか、若手の間での熾烈な競争が繰り広げられます。昨シーズンの平均得点では13.0のサーが最も多く、次いでビラル・クリバリーが12.3得点とともにエースと呼ぶには物足りません。ロケッツで16.2分と短いプレータイムながら9.4得点を記録していたウィットモアの方が得点感覚では優れており、誰がチームの中心になるのかは読めない状況です。
また、ドラフトではシューティング能力の高いトレ・ジョンソンを指名しており、早々に得点面で引っ張る存在になるかもしれません。自分の長所が得点面にあることを理解しているジョンソンは、オフボールムーブでディフェンスを崩し、早いリリースで打ち切るタイプです。チームメートにもスクリーンやタイミングの良いパスが求められるため、彼が活躍するのであればチームを彼中心に作り替えていく可能性があります。
ポイントガードには4.4アシスト、1.7ターンオーバーと堅実なアシスト能力をみせたキャリントンの成長が期待されます。得点力の低いパサータイプですが、ウイングとビッグに若手有望株を多く揃えたチーム構成には合っており、ゲームメーカーとしてチームメートの能力を引き出してほしいところです。
ビッグマンのサーは6.5リバウンド、1.5ブロックとディフェンスではゴール下での強さを見せたのに対して、フィールドゴール成功率は39.4%とオフェンス面では課題が多く、いまだプレースタイルを模索している段階です。アウトサイドでもプレーできるオールラウンダーを目指すのか、身体能力の高さを生かしてインサイドで戦うのか。どちらにしても、まだまだ改善すべき点は多く残されています。
現時点のウィザーズは、やっと各ポジションに若手が揃った段階で、これから個人としての成長と、それに伴ってどんなチーム戦術で戦うべきなのかを見極めることになります。