宇都宮ブレックスはBリーグ開幕カードとなったアルバルク東京との2試合にいずれも快勝し、東アジアスーパーリーグ(EASL)開幕戦に向けて台北に乗り込んだ。EASLは2大会ぶり3回目の出場となるが、大会方式がシーズン中のホーム&アウェーになってからは初参戦。大きなチャレンジを前に、田臥勇太キャプテンに意気込みを聞いた。
「昨シーズンの優勝にみんな満足していないのが良い」
──A東京との開幕2試合に連勝し、良いスタートを切ることができました。
そうですね。アウェーで2つ勝てたのは大きいですし、勝っていればチームの雰囲気は良いものです。今回のオフシーズンはいろいろな経験ができましたし、そのまま開幕を迎えて最初に勝てました。昨シーズンの優勝にみんな満足していないのが良いですね。
そこに満足してしまったら簡単には勝てません。やっぱり過去に2回優勝した時は、その次が難しいシーズンになりました。それを経験しているメンバーもいますし、そうでないメンバーも良い意味で危機感を持っています。自分たちはもっと良くなれる、良くならなきゃいけないと常にみんなで言い合えている。そうやって全員で頑張れていることが良い雰囲気を生み出しています。
──良い意味での危機感を持てているという意味で、田臥選手が精神的支柱としてチームを良い雰囲気に持っていっている部分はありますか。
そこは僕だけではなく、みんなが経験して分かっていることなので。だからみんなで言い合って、カバーし合うことができています。それは選手だけじゃなくコーチ陣もスタッフ陣も同じです。そういうチームでありたいし、そこが今シーズンの自分たちのチャレンジだとみんなが理解して頑張っています。僕もキャプテンとして意識するのは当然だし、バイスキャプテンのナベ(渡邉裕規)も本当に細かいところまで気にしてくれています。
──EASLは2年ぶり3回目の出場ですが、シーズン中のホーム&アウェーという大会形式は初めてとなります。田臥選手はこの大会にどんなモチベーションで臨みますか。
スケジュールは大変だと思いますが、逆にどういう感じで大変なのかワクワクしますね。海外遠征があるのもコンディションを整えるのも大変だし、特にプレータイムの多い選手をチームでサポートしていくことが大きなチャレンジになります。そのチャレンジをこのメンバーでできるのが僕個人としてはうれしいです。EASLを戦うのが大変なのは分かっていますが、それはどのチームも同じだし、そこを言い訳にする選手たちではないので。その大変さを乗り越えられれば、またチームとして強くなれると思っています。
「チームで戦う強さをこのEASLで発揮できたら」
──田臥選手は以前、ルーティーンをきっちり作り、それを続けるのが長いシーズンを乗り切る秘訣だと話していました。今回、EASLがあることでルーティーン通りにいかなくなります。
今日の練習でも、試合前日の練習のスタイルはすでに形作られていて、コーチ陣がしっかり組み立ててくれています。選手はそれに集中して取り組む。その後にそれぞれの練習の時間も作ってくれるので、必要なことをちゃんとやる。だからルーティーンはちゃんと続けながらも、EASLのように新しく入ったものの対応も同時にやっていく作業が必要になってきますし、そこに個人的にはワクワクしています。
とは言ってもこればっかりは僕らも初めての経験なので、予期せぬことも出てくると思いますが、今のところは結構リラックスしながらもメリハリをつけてやれています。今回は東京で試合をして、宇都宮に戻ることなく台北への遠征が続いています。遠征が続くと大変は大変ですけど、一緒にいる時間が長い分だけチームワークが高まります。大変な部分だけでなく良い部分もあるので、そこをしっかり取っていきたいですね。
──田臥選手は開幕の2試合で出場がありませんでした。今のコンディションはいかがですか。
今回は夏に稼働があった分、少しチームから時間をもらっていて別メニューの部分もありますが、コンディション的には何の問題もないですし、今どんどん上げている状況です。
──戦ったことのない海外のチームが相手で、遠征も多いEASLで勝つためのカギはどこになるでしょうか。
長いリーグ戦ではないので1試合の重みがある、一発勝負感がすごくあります。ドバイやシンガポールの国際大会で感じたのは、個人に頼るチームだと大事なところで力を発揮できず、チームで戦う相手に劣るということです。千葉ジェッツも広島ドラゴンフライズも、こういう大会で優勝しているのは、ここぞの場面でチームで勝ってきたからだと思います。僕らもチームで戦う強さをこのEASLで発揮できたらいいのかなと思います。
──台北の空港でブレックスのTシャツを着た人を何人も見かけました。
海外まで応援に来ていただけるのは本当にありがたいです。チームとしてみんなが感謝しています。そんな皆さんに「海外まで来て良かった」と思っていただけるように、チーム全員で勝利を目指して頑張ります。