攻守に渡る卓越したスキル、身体の強さ、勝利をひたむきに求める気持ち。小林大祐の才能は、5人制から3人制へと種目を変えても損なわれることがない。ライジングゼファーフクオカでのB1初挑戦のシーズンを終えた後、休む間もなく3人制の日本代表へと加わり、合宿と大会を重ねている。6月18日に開幕するオランダでの3×3ワールドカップを前にしたチェコ遠征に出発する時点で、茨城ロボッツへの移籍はまだ決まっていなかったが、「そこはエージェントに任せていて、何も心配していません。今はワールドカップにすべて集中しています」と平然としていた。それでも5人制での居場所が定まったことで、より集中できるはず。小林に大会への抱負を聞いた。
「チェックされてもシュートを打つ力、決める力」
──5月のアジアカップではベスト8。初挑戦となった国際大会を経てワールドカップに挑みますが、アジアカップでの経験はプラスになっていますか?
だいたいのイメージはつかめました。あのレベルを体感して初めて見えてくるものがあります。このところはセルビアなど他国の強豪の戦いぶりを見て3×3の知識をつけてきました。実際に経験して得たイメージをもとに練習できると、やっぱり違うと感じます。
自分のプレーとしては、チェックされてもシュートを打つ力、決める力は5人制でも出せていたので、そこを評価して今回も3×3の代表に選ばれたのだと思っています。課題としてはディフェンス、もう一つはクリエイトです。前回の反省として、クリエイトする力が出せなかった、チームプレーがなかなかできませんでした。そこは今回チームに加わった3×3のベテラン2人と良いコミュニケーションを取って、うまく融合させてワールドカップの強豪と戦いたいです。
──5人制とはボールも違うし戦い方も異なります。そこのフィットに戸惑いはないですか?
もちろんプレーの内容もボールも違うのですが、アジャストはずっとやってきたので。もともと5人制は5人制の戦術、3人制は3人制の戦術ともっと明確に区切られているのかと思っていたのですが、今はあえて5人制のプレーの質を出していきたいと感じています。練習をする中で「こういうプレーは3人制でも通用するんだ」という発見はたくさんあります。
だから、3人制と5人制は離れているんですけど完璧に区切るのではなく、どっちにも通用する選手、すぐにアジャストできる選手でありたいと考えています。ボールも5人制のボールで練習したり、混ぜてやったり、そういう工夫でアジャストできるようにやっています。
「オリンピックは目標ですが、その後も3×3を続けたい」
──チェコで準備を整えてオランダでのワールドカップに臨みます。今大会の目標はどういうところに置いていますか?
まずは予選グループを抜けることが第一関門です。決勝トーナメントに進出することがひとまずの目標になります。個人ではなくチームで戦わないと勝てないのは明確なので、チェコ遠征でチームプレーの質を高めます。その上で個人として、勝負どころやクラッチタイムでの個人技術は必ず求められるので、そこで自分のシュート力、ドライブ、クリエイトという面を出していければと思います。一番はチームディフェンスとリバウンド、そこを大会の収穫にしたいです。
──まずは目の前のワールドカップに集中ですが、来年の東京オリンピックという意識は常に頭のどこかにあると思います。3人制に挑戦し始めたばかりの数カ月前と比べると意識もかなり変わってきたのではありませんか?
もちろんオリンピックがあるというのはスポーツをやってる身としては一番の目標です。ただ僕自身はどっちかと言うと、3人制の競技自体が結構好きになっちゃったというのがあって、もちろんオリンピックが目標ですが、その後も3×3を続けられるように。もちろん5人制も続けていくので、うまく両立して3人制と5人制それぞれの魅力を伝えられるプレーをしたいです。
大きな目標があるので、そこに向かって頑張るのは当たり前。逆にそうじゃない人っているんですかね。僕はそれを当たり前として頑張りますし、3人制の素晴らしさにハマっているのも確かです。今回はワールドカップという貴重な舞台に、日本の3×3プレーヤーの代表として参加するわけなので、そういった意味では責任も感じるし、日本代表というプライドを持ってコートに立ちたいです。チーム全員で戦いますので、期待していてください。
チェコ国内大会アベック優勝。
まだまだこれから。#BREXEXE#WILLfamily #BANDEL#and1basketball pic.twitter.com/G6Om8rrDCM— Daisuke Kobayashi (小林大祐) (@kesuidasiyabako) 2019年6月9日