安藤誓哉

トゥオビHC「終盤に自分たちのリズムにできたことが勝ちに繋がった」

10月4日、横浜ビー・コルセアーズは開幕戦でアウェーに乗り込み、琉球ゴールデンキングスと対戦。我慢の展開が続く中、第4クォーターに3ポイントシュート7本中5本成功と、ここ一番で長距離砲を爆発させ77-75で激闘を制した。

試合の立ち上がりはともにテンポよくパスを散らすチームオフェンスを展開し、確率よくシュートを入れ合う点の取り合いとなる。しかし、第2クォーターに入ると、互いに相手のオフェンスにしっかりとアジャストしてオープンシュートを簡単に打たせず。互角の展開で前半を終える。

後半に入っても横浜BCは、琉球の強度の高いディフェンスに苦しめられタフシュートが続く。第3クォーターの得点がわずか10に留まるなどオフェンスの停滞が解消できず、第4クォーター序盤には2桁のビハインドを背負った。だが、この劣勢でも横浜BCの各選手たちは集中力を切らさずに粘り強くプレーを続けると、逆に判断ミスが目立ちオフェンスが雑になった琉球からターンオーバーを奪って流れを引き寄せる。

そしてゲイリー・クラークの連続3ポイントシュートに加え、森井健太もコーナーからの長距離砲と、ここ一番で外角シュートに当たりが来る10-0のランによって残り5分で勝ち越す。その後、琉球の反撃に遭うが、2点ビハインドの残り1分半から安藤誓哉がドライブからのバスケットカウント、さらに3ポイントシュートと、圧巻の連続ビッグショット成功。こうしてエースがここ一番の勝負強さを見せることで競り勝った。

横浜BCのラッシ・トゥオビヘッドコーチは「後半になって状況判断が遅かったことで展開が遅くなり、琉球のリズムになってしまいました。終盤になって、自分たちのリズムにできたことが勝ちに繋がったと思います」と振り返る。

安藤誓哉

森井への信頼「僕にないものを持っていてリスペクトしています」

第4クォーターの8得点を含む17得点を挙げた安藤は「良い経験ができました。今はホッとした気持ちが強いです」と語ると、早くも明日に向けて気持ちを切り替えていた。「最後に良い形で決めきれましたけど、『明日はもっとこうしていきたい』という気持ちが強いです」

この試合、安藤は琉球の守備職人である小野寺祥太、フィジカルに優れた脇真大と当然のように徹底マークを受け、序盤から思うようにシュートチャンスを作り出せていなかった。また、新加入のため致し方ない部分もあるが、5ターンオーバーが示すように連携ミスも目立った。たが本人は「試合中も良い意味でのもどかしさがあり、今日の試合でいろいろな経験ができました」と言い、ストレスを感じることなくプレーしていたことが最後の爆発に繋がった。

また、カッティングを多用するスタイルの横浜BCにしっかりアジャストし、これまではあまり見られなかったカッティングを積極的に仕掛けていたのも印象的だった。「自分のカッティグによって、相手を引きつけ味方が何本かシュートを打てたり、直接ではない形でのアシストに繋がったところもあったと思います。これはラッシのやろうとしているバスケの一つですし、以前からオフボールの部分で成長したいと思っていました」

そして、第4クォーターに大きなインパクトを見せた森井とのツーガード起用について聞くと、森井への厚い信頼をこう語る。「健太はパスがうまいので、自分がリード&リアクトで動けたらもっと簡単にプレーできると思います。彼への安心感はすごいです。ディフェンスに関して言うと、これまで練習で毎回対峙していて、彼のディフェンスはずっと嫌でした。今日、彼が第4クォーターの勝負どころで3回ディフレクションをしてくれたおかげで、流れが変わりました。僕にないものを持っていてリスペクトしています」

安藤は早速、昨シーズンの横浜BCに欠けていた接戦で勝ち切るために必要な決定力を見せた。そして、リーグ屈指の矛である安藤、盾である森井のガードコンビの破壊力など、横浜BCが持つポテンシャルを示す大きな開幕戦での勝利となった。