上海とのプレシーズンで日本人トップの出場時間
横浜ビー・コルセアーズは9月13日、中国リーグCBAの上海シャークスとプレシーズンゲームを実施。67-70と競り負けた一戦はプレシーズンらしくタイムシェアを行ったが、日本人選手で最も多くコートに立っていたのは松崎裕樹だった。
この試合に先発出場した松崎は得点こそなしに終わったが、24分23秒の出場時間で2つのオフェンスリバウンドを含む4リバウンド2スティールと守備で存在感を示した。「ファンの皆さんにお見せする今シーズン初の試合だったので、勝ちを届けたかったです」と語った松崎は、自身のパフォーマンスをこう振り返る。
「オフェンスは、誓哉さん(安藤誓哉)がクリエイトしてくれたところでシュートを決め切ることができなかったのが課題です。ディフェンスではローテーションのカバーがしっかりできず、相手のシューターにやられたところがありました」
このように反省点を強調する松崎だが、「シュートが入らなかったところで割り切って、リバウンドやビッグマンのヘルプなど泥臭いことをやろうという考えでした」と語るように、持ち前のハードワークでチームに良い流れをもたらした。
今オフ、横浜BCはリーグ屈指のスコアリングガードである安藤を獲得。この試合では安藤と須藤昂矢が先発ガードで起用され、セカンドユニットでは森井健太とキーファー・ラベナが出場。シーズン中もこの4名でバックコートを形成していくと考えた場合、スモールフォワードのポジションは松崎、キング開、新加入の兪龍海と谷口光貴で争うこととなる。
激しいポジション争いからプレータイムを勝ち取るため、松崎は次の部分をアピールしていきたいと考えている。「まずはディフェンスで外国籍フォワードにつき、トランジションで点数を取ること。今年はチームとしてもよりいっそうオフェンスリバウンドに力を入れています。勢いを与えられるプレーだと思うので、この部分で相手に印象を残せるようになりたいです」
エストニア遠征は「開幕へ向けて良いメンタルを作りたい」
今シーズンの横浜BCの強みである安藤、森井の司令塔コンビとの連携については次のような意見だ。
「去年はたくさんボールをシェアするバスケットボールでしたが、誓哉さんは引力を持った選手なのでボールが集まるのは当然ですし、ボールを持たせるためにチームは誓哉さんを獲得したと思います。誓哉さんに周りが合わせるというより、自分たちが合わせないといけない。健太さんと一緒に出る時はよりカッティングを強調するなど、一緒にプレーするポイントガードで自分の役割を差別化していく必要はあります」
また、昨年に比べボールにからむ機会は減ると予想する中でも、「絶対に自分がメークできるチャンスを作ってくれるヘッドコーチなので、自分は役割にアジャストするだけです」とラッシ・トゥオビヘッドコーチへの信頼を強調する。
今シーズンがプロ3年目の松崎だが、出場機会が限られたルーキーイヤーを終えて迎えた1年前のプレシーズン取材時には「このままだったらそもそもリーグにいられない」と強い危機感を持っていた。そこから平均17分44秒出場とローテーション入りを果たした昨シーズンを経て、心境に変化が出ている。
「チームの中でしっかりやるべきこと、自分しかできないことをラッシコーチから与えられ、その積み上げがありますし、今年はどうやったらチームが勝てるのかを考えることができています。ただ、ラッシはシビアなコーチでもあるので、調子が上がらないとプレータイムはもちろん減ります。競争に対して危機感を持ちつつ、自分のやれることの幅を広げていきたい。そういう部分で、少しはゆとりが出てきたと思います」
横浜BCは17日から20日にかけてエストニア遠征を実施。エストニア、ポーランドとのクラブとのプレシーズン3試合を経て、シーズン開幕を迎える。松崎は、このように意気込みを語っている。「開幕節の相手である琉球ゴールデンキングスはリバウンド、プレーの強度がともに高いトップチームです。サイズとフィジカルのある欧州の強度を経験することで、開幕へ向けて良いメンタルを作りたいです」