指揮官「勝つために何が必要かはわかっています」
9月15日、千葉ジェッツは佐賀バルーナーズとプレシーズンゲームを実施。序盤から後手に回り、後半早々に2桁のリードを許すと、ゴール下での粘り強いアタックで食らいついたものの73-78で競り負けた。
77-64で勝利した前日の越谷アルファーズ戦に続く勝利を逃したトレヴァー・グリーソンヘッドコーチは、「ららアリーナで連戦できたことはシーズンに向けた良い準備となります。ただ、前半だけで11本のオフェンスリバウンドを取られ、13点を奪われたのは課題なので、しっかりと練習をしていきたいです」と総括した。
グリーソンヘッドコーチが言及したようにこの試合の千葉Jは、ジョシュ・ハレルソンの欠場などで200cm以上のビッグマンが2人のみだった佐賀相手にオフェンスリバウンドを19本取られ、リバウンド争いで40-53と後手に回ったのが痛かった。また、57-70で敗れた香川ファイブアローズ戦を含め、プレシーズンでは得点も伸びていない。しかし、彼は「すべての課題が一気に解決することはありません。プレシーズンは始まったばかりです。これから開幕に向けて良い状態に持っていきたい」と動じていない。
指揮官が冷静なのは、故障者続出という苦難に屈せずファイナル出場まであと1勝まで迫った昨シーズンの経験があるからだ。「勝つために何が必要か、どれだけやらないといけないかはわかっています。去年はいろいろなケガがある中、逆境を乗り越えたシーズンでした。ここから一つひとつ作り上げていって課題を改善することで、選手それぞれの強みが出て、チームとして強くなっていくと思います」
グリーソンヘッドコーチは、「この1週間、チャンピオンシップで3日連続3試合をこなすことを想定して練習スケジュールを組んでいました」と明かす。これは昨シーズンのセミファイナル宇都宮ブレックス戦で、ヘッドコーチにとって初めてとなる3連戦を戦った経験によるものだ。
「100%の状態ではない中で、どれくらい集中力を維持し、お互いに助けられるのか。もうひと踏ん張りして走ることができるのか。チャンピオンシップで勝つためには、このシミュレーションをして何が課題か見つけないといけません。今日はディフェンスは悪くなかった印象ですが、リバウンドが課題でした」
「今、コンディション面は悪くないです」
千葉Jのエースである富樫勇樹は、26分43秒のプレータイムで16得点4アシストと上々のプレーを披露。自身の状態について「この時期のプレシーズンは、いつも僕の中ではまだまだという感じです」と言ったが、「ただ」と続けた。
「去年のこの時期にサンロッカーズ渋谷、韓国のチーム(ソウルSKナイツ)とやった時に比べると、よりゲームシェイプになっている感覚です。昨年の2試合はららアリで初めての試合ということで、少しふわふわしていた記憶もあります。今、コンディション面は悪くないです」
チームとしての仕上がりについては「課題が多いです」と語るが、経験豊富なベテランは冷静だ。「ケガ人がいる状況ですし、去年からほとんどメンバーが変わっていないにしろまったく同じではないので、積み上げていく必要があります。開幕に向けてまだ3週間近くあるので、しっかり修正していきたいです」
また、今回のプレシーズン連戦前に発表された、2015年からともにプレーしている盟友・西村文男の今シーズン限りでの現役引退について聞くと、「彼からはずっと話を聞いていたので、突然のことではありません」と言い、次のように思いを語ってくれた。
「これだけ一緒に長くやってきた選手の引退には、もちろんさみしい気持ちはあります。彼の中でやりきった気持ちはあって、この1シーズン、全力を尽くしてかっこよく引退したいという思いがあると思います。彼の引退どうこうがなくても優勝を目指すチームですが、しっかりと良い形で引退をさせてあげたいという気持ちがあります」
常に優勝を狙えるチーム力を有する常勝軍団の千葉Jだが、今シーズンはどうしても勝たないといけない理由が1つ新たに加わった。その中で、チームは来るべきシーズンに向けて順調に調整を行っている。