ドイツ代表

「常に団結していて、良い時も悪い時もチームだった」

88-83と5点をリードして残り時間は8.3秒。勝利は確実なものとなっていたが、ドイツの選手たちは最後まで集中を切らさなかった。ジェディ・オスマンにタフショットを打たせ、そのリバウンドをデニス・シュルーダーはタップで味方に繋げる。ここで試合終了のブザー。シュルーダーは反対側のコートに投げ入れられたボールを全速力で追いかけた。そのために歓喜の輪に加わるのが遅れたが、最終的には彼が輪の中心となった。

1993年以来のユーロバスケット制覇であり、2023年のワールドカップに続く優勝。その決勝でシュルーダーは16得点12アシストを記録した。大会を通して20.3得点、7.2アシストというスタッツ以上に、決勝のクラッチタイムで見せたように、勝敗を左右する場面での落ち着いたプレー判断と遂行力が光った。

それでも彼は、自分ではなくチームとしての戦いぶりを語った。「2年前のワールドカップに続いて9戦全勝で優勝できたなんて信じられない。トルコは素晴らしいプレーをしたけど、僕たちは決して逃げなかった。自信を失うことなく戦い続けた結果だ。(アイザック)ボンガは3ポイントシュート4本すべてを決め、素晴らしいダンクも決めた。ベンチから出た(トリスタン)ダ・シルバが次々と得点を決め、(アンドレアス)オベストも(ダニエル)タイスも重要な3ポイントシュートを決めた。それぞれが持つ偉大な才能を重要な場面で発揮した仲間たちを誇りに思うよ。僕らは常に団結していて、良い時も悪い時もチームだった」

良い時も悪い時も──。ドイツ代表が疑いようのない黄金時代にある今も、シュルーダーはその『悪い時』を忘れてはいない。「2019年にグループリーグで敗退した時、ロッカールームにみんな集まった。最悪の時期だったけど、あそこから一つずつ築き上げていったんだ。2022年のユーロバスケットで銅メダル、2023年のワールドカップで優勝、2024年のオリンピックで4位、そして今回の優勝。僕にとって夏が来るたびにドイツを代表し、このメンバーで戦えるのは本当に誇らしいことだ」

デニス・シュルーダー

MVPの活躍は「妻や子供たちがいてくれるおかげ」

そのシュルーダーは、ワールドカップに続いて大会MVPに選ばれた。ドイツ人選手の受賞は1993年のクリス・ウェルプ、2005年のダーク・ノビツキーに続く3人目となる。その喜びも彼はチームメートと共有した。「本来であれば、僕とフランツ(バグナー)でMVPは半分ずつであるべきだと思う。毎試合とても安定したプレーを見せた彼は、実質的にこのチームで一番優れた選手だったと思う。彼なしではとても無理だった。彼もMVPに値することをみんなにも知ってほしい」

優勝会見でのシュルーダーは、優勝ボールと息子と一緒だった。「前半の僕は調子が上がらなかった。前半は家族がスタンドのどこにいるか分からず探していたんだ」と笑う。実際、前半は2得点のみ。それがギアを上げた後半には14得点に伸びている。

「妻や子供たちがいてくれるおかげで、僕は自分の力を最大限に引き出せる。妻の存在が僕を大きく変えた。ここにいる長男、あそこでカメラを構えているもう一人も、彼らが僕にとってのすべてなんだ」

優勝ボールと子供たち。シュルーダーは最高にハッピーだった。会見の途中にはチームメートが乱入し、ハッピーバースデーを歌いながら彼にボトルの水を浴びせた。彼はそれも予期していて、仲間たちが入ってくると同時に息子を逃し、ゴーグルをかけて手荒い祝福を受けた。

「優勝したし、誕生日だし、今夜ぐらいは少しぐらい羽目を外すつもりだ。コーチにも優勝を祝うダンスに加わってもらうよ。彼はいつもポケットに手を入れているけど、今夜はそれじゃダメだ(笑)」